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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

マガジン

  • 鶴谷香央理:連載コミック「傲慢と善良」(原作・辻村深月)

    【単行本第1巻、9月13日発売!!】 婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。彼女はなぜ姿を消したのか。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる――。 現代社会の生きづらさを恐るべき解像度で描き、多くの共感を呼んだ、2023年最大のベストセラー小説『傲慢と善良』を、名手・鶴谷香央理がコミカライズ!! 【毎月20日 11時更新予定】 小説公式サイトはこちら https://publications.asahi.com/feature/gouman/

  • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

    平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 231本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」

    喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。

  • 年森瑛:連載エッセイ「バッド入っても腹は減る」

    パスタを茹でながら、キャベツを煮込みながら、一冊の本をじっくり読む――。いちばん読書がはかどるのはキッチンだ。いま再注目の新人作家による、おいしい読書日記連載スタート。毎月15日更新予定。

最近の記事

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web TRIPPERへ、ようこそ

はじめまして。 web TRIPPERにお運びいただき、ありがとうございます。 このサイトは、朝日新聞出版が発行している季刊文芸誌「小説トリッパー」のweb版です。 朝日新聞出版の文芸部門の源流は、1879(明治12)年にまでさかのぼります。この年に朝日新聞が創刊し、その10月には文芸誌を創刊しています。 140年以上の歴史の中で、朝日新聞グループの文芸部門は、いつの世も綺羅星のような作品を送り続けてきました。 最初期から現在までつづく新聞本紙の連載小説、そして「週

    • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第18回

      第8峰『居眠り磐音 江戸双紙』其の弐 全読者の胸を熱くさせる神回の第3巻、珠玉の第16巻 『居眠り磐音 江戸双紙』が大長編でありながら尻すぼみにならずに人気を保ち、傑作と称される理由として挙げておきたいのは、緩急の使い分けが見事にはまっている点だ。とりわけ前半がすごくて、急展開のオープニングから一転して静かになったかと思いきや、物語の骨格を形成するのと同時進行で感情を揺さぶられるドラマがピークを目指して前にせり出してくる。  大長編である。しかも、小さな事件をていねいに

    • 【試し読み】「学校で友達を作る厄介さ」漫画家・コラムニストのカレー沢薫さん『女って何だ? コミュ障の私が考えてみた』<第1回>

      学校で友達を作る厄介さ 〈社会人より、明らかに学生時代の方がキツい〉卒業までの契約で、お互い 友達役のサクラをやっているようなもの。  当コラムでは何度も、「大人になると、友達がいなくて困ることが学生時代に比べて格段に減る」と主張してきた。これは逆に言うと、「学生時代は厳しかった」ということだ。  よく、「社会人になれば学生時代がどれだけ楽だったかわかる」と言われるが、友人関係に限定すると、明らかに学生時代の方がキツい。  社会人というぬるま湯に浸かりきった今の身体で、

      • 上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第6回

         はみはむさん、こんにちは。  業務を遂行するだけでも大変なのに、人間関係でこんなに悩まされるなんてもう最悪ですね。心中お察しします。でも本文中に「もう辞めたい」とか「逃げたい」みたいな弱音は一回も出てこなくて、(やむを得ない事情もあるのかもしれませんが)お仕事を懸命に頑張っていることがうかがえ、まずそれが素晴らしいなと思いました。  いただいた呪いを拝見して、同僚の彼女の振る舞いが全て事実だとすれば、相当手練の悪だな〜と感じます。私が33年生きてきたなりに思うのは、完璧に

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      • 鶴谷香央理:連載コミック「傲慢と善良」(原作・辻村深月)
        3本
      • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』
        16本
      • 朝日新聞出版の文芸書
        231本
      • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」
        6本
      • 年森瑛:連載エッセイ「バッド入っても腹は減る」
        7本
      • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」
        8本

      記事

      • ★エキナカ書店大賞参加中★ 群ようこさん『たべる生活』期間限定!一部試し読み公開<第1回>

         電車・列車の移動中に読みたいおススメの1冊を選ぶ「エキナカ書店」に群ようこさんの『たべる生活』(朝日文庫)が参加しています。  対象期間は2024年9月1日(日)から9月30日(月)まで! 『BOOK COMPASS』『BOOK EXPRESS』『bookstudio』『Books Kiosk』など、計21店舗で開催。各店でのお買い上げ数の他、公式X(https://x.com/ekinakashoten)での「いいね」のSNS票で大賞が決定されます。是非、下記ポストへの

        ★エキナカ書店大賞参加中★ 群ようこさん『たべる生活』期間限定!一部試し読み公開<第1回>

      • 孤高にして偏狭な江戸随一の戯作者を描いた、杉本苑子さんの歴史巨篇『滝沢馬琴』/文芸評論家・細谷正充さんによる文庫解説を公開

         歴史小説には、主人公である実在人物の名前をタイトルにした作品が、少なからずある。吉川英治の『宮本武蔵』、山岡荘八の『徳川家康』、北方謙三の『楠木正成』、宮城谷昌光の『諸葛亮』などなど、過去から現在まで、物語の主人公である実在人物の名前を、ドンとタイトルにした作品が、連綿と書かれているのだ。  では、なぜ歴史小説に、このような人名タイトルがあるのだろうか。大きな理由は、読者の興味を強く惹けることだ。名前を見ただけで、どのような人物かある程度は分かる。その人物をどのように料理

        孤高にして偏狭な江戸随一の戯作者を描いた、杉本苑子さんの歴史巨篇『滝沢馬琴』/文芸評論家・細谷正充さんによる文庫解説を公開

      • 「老いて死ぬ、その周辺」若竹千佐子さんの書評を特別公開

        老いて死ぬ、その周辺 「ああ~ああああああ」  たまに一人旅に出ることがある。  このあいだも青森、五所川原から金木に向かう弘南バスに乗っていた。中途半端な時間だったせいか、バスの中は私と病院帰りらしいおじいさんとほぼ貸し切り状態だった。このおじいさん、冒頭のような長いあくびを連発した。ほんとうにひっきりなしに。  旅の空で揺られ揺られて聞く他人のあくび。それがどうしても、飽きた、俺はほとほと飽きてしまったんだよう、生きるのがさほんとにさぁ、のように聞こえた。おじいさ

        「老いて死ぬ、その周辺」若竹千佐子さんの書評を特別公開

        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第17回

        第8峰『居眠り磐音 江戸双紙』其の壱ページをめくる手が止まらない! 佐伯泰英山脈の最高峰、堂々の全51巻 息もつかせぬ展開で読者を巻き込み、唸らせ、泣かせても、 まだシリーズ序盤ってどういうこと? 読者の期待に作者が燃え、驚異的ペースで描かれた会心作  いよいよ発行部数が優に2000万部を超す代表作の登場だ。すでにお読みの方も多いだろう。あるいは映画などでご存じかもしれない。佐伯ビギナーがまず手に取りそうなシリーズでもあるので、安易なストーリー紹介にならないよう気をつけ

        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第17回

      • ダ・ヴィンチ・恐山こと品田遊さんウロマガ本第2弾発売決定!!! 『キリンに雷が落ちてどうする』より「はじめに」を特別に公開!

        はじめに(『キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々』より) 「手拍子」が嫌いだ。  コンサートで楽曲が盛り上がってくると、どこかから手拍子の音がする。聴こえてきたな、と思ったときにはもう遅い。破裂音はパンデミックのように拡大し、またたくまに本来の演奏をかき消さんばかりの勢いになる。  手拍子は、客席の誰かが手を叩き始めたのを聴いて「そういうものなのか」と思った人により発生する、なし崩しのムーブメントである。拍手という発信の形をとっているが、受動性の塊だ。そこで手拍子をし

        ダ・ヴィンチ・恐山こと品田遊さんウロマガ本第2弾発売決定!!! 『キリンに雷が落ちてどうする』より「はじめに」を特別に公開!

        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第16回

        第7峰『秘剣』其の弐 ヒロインさえも止められない 一松の明日はどっちだ⁉ 本音がどこにあるかわからない。佐伯時代小説のヒロイン像  第1巻の後半に、物語の行方を左右する出来事が起きる。江戸に舞い戻った一松は、千住宿で一夜を共にした飯盛り女やえをひょんなことから身請けし、尼寺にかくまった後、やえの郷里へ一緒に行くのだ。やえの家族も登場し、一松の荒ぶる魂も落ち着く気配。悪ガキだった偽侍が、江戸で一泡吹かせた薩摩藩の追手やまだ見ぬ強豪と闘いながら、味わったことのなかった

        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第16回

      • 斎藤美奈子さん『あなたの代わりに読みました』書評まとめ

        ■インタビュー「斎藤美奈子さん書評集『あなたの代わりに読みました』 明日への糧、忙しい読者に寄り添い」(朝日新聞) ■書評「価値を見つける誠実さ」(東京新聞、[評]豊崎由美さん) 「夏休みシーズンの読む本に迷ったら「本を紹介する本」……言葉の巧みな江國香織さんの書評、論理が巧みな斎藤美奈子さん」(読売新聞、[評]待田晋哉さん) 日刊ゲンダイ 「膨大な読書量に基づく思考と言葉を多角的に積み上げた「知」の仕事」(サンデー毎日、[評]武田砂鉄さん) ■試し読み 「10年間

        斎藤美奈子さん『あなたの代わりに読みました』書評まとめ

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        鶴谷香央理:『傲慢と善良』第5話

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        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第15回

        第7峰『秘剣』偽侍・一松の超攻撃型空中殺法が乱舞するピカレスクロマン 正義感を拠り所にしない剣術小説の気持ちよさ 薩摩示現流の達人に変身した偽侍が風雲を巻き起こす  快作、いや怪作というべきか。2002年から06年にかけて発表された『秘剣』シリーズは、佐伯作品の中でも異彩を放ち、読者の間では評価の分かれる作品だと思う。全5巻はけっして短いわけではないが、10巻越えの大長編シリーズがひしめく佐伯作品群の中では地味な存在。すでに絶版になっていることもあり、未読の人も多いだろう

        北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第15回

        年森瑛「バッド入っても腹は減る」第7回

         クロネコヤマトの配達通知が届いたので玄関脇のポストを確認しに行くと、開きっぱなしのフタから郵便物がいくつも飛び出ていた。無理矢理突っ込まれた分厚いゆうパックとメルカリの箱、スポーツジムのチラシ、それから奥で丸まっていた都知事選の広報誌を引っこ抜く。ゆうパックは担当さんからの献本だった。  というわけで、いただいた『私の身体を生きる』をさっそく読む。これは女性として生きる17名の書き手が自らの身体について語るリレーエッセイ集で、『文學界』で不定期連載していた頃から追いかけてい

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      • 『男装の天才琵琶師 鶴田錦史の生涯』の著者・佐宮圭さんが刊行エッセイで明かした、ノンフィクションの裏側

        ジェンダーの呪縛も固定観念の壁も突破する 「鶴田錦史」をご存知の方は少ないと思います。私も伝記の執筆を依頼されるまで知りませんでした。  半年前の2024年2月6日、世界的指揮者の小澤征爾さんが亡くなられました。彼の名を初めて広く世界に知らしめたのは、1967年11月、ニューヨーク・フィルハーモニックの創立125周年記念公演での『ノヴェンバー・ステップス』の初演。32歳の若きマエストロは、30代半ばの新進気鋭の作曲家・武満徹の難解な現代曲を見事に指揮して、大きな成功を収め

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      • 人を殺める道具であるはずの刀に魅いられる心理を細やかに描き分ける/山本兼一著『黄金の太刀』清原康正氏による解説を特別掲載!

         山本兼一は日本刀が持つ魅力を物語の中で存分に表現し得る作家である。江戸時代前期の刀鍛冶・虎徹の情熱と創意工夫、波瀾と葛藤のさまをたどった長編『いっしん虎徹』、幕末期に四谷正宗と称賛された名刀工「山浦環正行 源清麿」の鍛刀に魅せられた生涯を描き上げた長編『おれは清麿』、幕末期の京都で道具屋を営む若夫婦の京商人としての心意気を描いた連作シリーズ「とびきり屋見立て帖」の『千両花嫁』などには、日本刀に関する情報が満載されており、熱い鉄を打つ鎚の音、燃え上がる炎、飛び散る火花の強さな

        人を殺める道具であるはずの刀に魅いられる心理を細やかに描き分ける/山本兼一著『黄金の太刀』清原康正氏による解説を特別掲載!