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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッ…

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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

マガジン

  • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

    平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 205本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」

    文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する連載がスタート! 毎月10日に配信予定。

  • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」

    喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。

  • 松井玲奈『私だけの水槽』

    2024年4月19日発売の松井玲奈さん『私だけの水槽』に関する記事をまとめています。

最近の記事

  • 固定された記事

web TRIPPERへ、ようこそ

はじめまして。 web TRIPPERにお運びいただき、ありがとうございます。 このサイトは、朝日新聞出版が発行している季刊文芸誌「小説トリッパー」のweb版です。 朝日新聞出版の文芸部門の源流は、1879(明治12)年にまでさかのぼります。この年に朝日新聞が創刊し、その10月には文芸誌を創刊しています。 140年以上の歴史の中で、朝日新聞グループの文芸部門は、いつの世も綺羅星のような作品を送り続けてきました。 最初期から現在までつづく新聞本紙の連載小説、そして「週

    • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第6回

      第2峰『鎌倉河岸捕物控』其の弐 いぶし銀! 金座裏九代目・宗五郎親分の安定感とオヤジ力 絶妙な設定で大がかりな捕物が可能になった  人呼んで「金座裏」の9代目宗五郎。江戸でもっとも古株の十手持ち(岡っ引き)で、将軍家御目見の古町町人(代々江戸で暮らしてきた人たち)でもある。  金座は幕府が金貨の鋳造などを行う重要な機関で、現在も日本銀行の本店が同じ場所にある。そこで著者は、裏口の本両替町にあったことから金座裏の通り名で呼ばれていた岡っ引き一家を創造した。2代目が金座

    • 「不思議な、体験だった。」川上弘美さんが12年の時を経て描いた、『七夜物語』の次の世代を生きる子どもたち/『明日、晴れますように 続七夜物語』刊行記念エッセイ

      未来から今へ  このたび上梓することになった『明日、晴れますように』は、今から十二年前、二〇一二年に出版された『七夜物語』の、続篇である。 『七夜物語』は、二人の小学生が七つの不思議な夜を冒険する、というファンタジーだった。二人は名前を鳴海さよ、仄田鷹彦といい、多少内向的な、けれど冒険に際してはじゅうぶんに勇敢な子どもたちだった。一生に一度は子どもが主人公のファンタジーを書いてみたいと思って始めた連載中、わたしは主人公二人が大好きでしかたなく、小説を書いている時にどちらかと

    • 夏季号は創作が1本に、新連載2本スタート! 新刊をめぐる評論と対談も。〈「小説TRIPPER」2024年夏季号ラインナップ紹介〉

      ◆創作高山羽根子 「パンダ・パシフィカ」  春先になると花粉症で鼻が利かなくなるモトコは、副業で働くアルバイト先の同僚・村崎さんから自宅で飼う小動物たちの世話を頼まれる。2008年、上野動物園ではパンダのリンリンが亡くなり、中国では大地震と加工食品への毒物混入事件が起きる。命を預かることと奪うこと。この圧倒的な非対称は、私たちの意識に何を残すのか? テロルの時代に抗う、小さく、ささやかな営為を描く問題作、一挙掲載285枚。 ◆新連載武内涼 「歌川 二人の絵師」  東海道

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    • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』
      6本
    • 朝日新聞出版の文芸書
      205本
    • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」
      6本
    • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」
      3本
    • 松井玲奈『私だけの水槽』
      1本
    • 麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』
      27本

    記事

      偉い人にはそれがわからんのです(よ)(『機動戦士ガンダム』)――川添愛「パンチラインの言語学」第6回

       前回の予告どおり、今回も『機動戦士ガンダム』を取り上げる。前回はニュータイプの話でお茶を濁してしまい、言語学要素がいつにも増して薄めだった自覚はある。できれば今回もアムロとララァの謎会話のことや、ララァに「大佐、どいてください、邪魔です!」と言われてしまった可哀想なシャアの話とかをしたいものだが、そこをぐっとこらえて、もうちょっと言語学寄りに『ガンダム』のセリフを眺めてみたいと思う。  この作品の特徴の一つとして、一部のキャラのセリフの「芝居がかった感じ」が挙げられる。た

      偉い人にはそれがわからんのです(よ)(『機動戦士ガンダム』)――川添愛「パンチラインの言語学」第6回

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第5回

      第2峰『鎌倉河岸捕物控』 水の都に十手が舞う。 爽やかで温かい、江戸の青春グラフィティー シリーズ8本が同時進行。平成新山「佐伯山脈」が聳え立つ! 崖っぷち作家から売れっ子時代小説家へ  捕物帳は昔から愛される時代小説の華。江戸を舞台にした探偵小説+警察小説のようなもので、エンタメ性が高いため人気があり、作家にとっては腕の見せどころだ。  代表例は岡本綺堂『半七捕物帳』や野村胡堂の『銭形平次捕物控』、横溝正史『人形佐七捕物帳』、池波正太郎『鬼平犯科帳』あた

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第5回

      上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第3回

       水越さん、こんにちは。自分が考えたこともない角度の呪いで、新しい知見を得た気持ちです。  処女信仰という言葉がありますが、私は「科学的理由はないのにそうあった方が望ましい」みたいなことって、処女に限らず全て信仰みたいだなあと思っています。明確なメリットがあるわけじゃないけど、自分の心の経典に書いてあるからそうせざるを得ない、みたいなことってあるじゃないですか。不良やヤンキーが舐められたらキレるのは、その方がメリットがあるからとかではなくて、「舐めてくる相手にはキレろ」と心の

      上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第3回

    • 映画に格助詞「と」を持ちこんだ人/暗黒綺想家・後藤護氏による、町山智浩著『ブレードランナーの未来世紀』文庫版解説を特別公開

      映画に格助詞「と」を持ちこんだ人  ――スペシャリストにしてジェネラリストであること 『ブレードランナーの未来世紀』というタイトルとは裏腹にクローネンバーグの『ビデオドローム』論からはじまる、という構成が本書の妙ではあるまいか。つまりこの第一章で、『ビデオドローム』が依拠したとされるマーシャル・マクルーハンの思想が語られている箇所が私には重要に思えてならないのだ。本書で語られたその概要をおさらいすると以下のようになる。中世のヨーロッパ人や非文字文化のアフリカ部族などが属して

      映画に格助詞「と」を持ちこんだ人/暗黒綺想家・後藤護氏による、町山智浩著『ブレードランナーの未来世紀』文庫版解説を特別公開

    • 昔からの大ファンだという三宅香帆さんが「腑に落ちる」と評するエッセイ集/松井玲奈著『私だけの水槽』書評公開

      表現から離れた場所で潜る 普段の活動を知っている人のエッセイを読むたび、腑に落ちる、という言葉を思い浮かべる。腑とはつまり内臓で、体の中心あたりにある臓器のことなわけだが、そこにすとんと落ちた納得のことを指す。たとえば私は松井玲奈さんを、アイドル時代から今の俳優・作家として活躍されている時代に至るまでずっと見ていて、そういう方のエッセイを読むと、なんだかすごく腑に落ちる感覚がある。――もちろん、私はテレビ越しや舞台越しにしか彼女のことを知らない。なのに、勝手にこちらが想像して

      昔からの大ファンだという三宅香帆さんが「腑に落ちる」と評するエッセイ集/松井玲奈著『私だけの水槽』書評公開

      麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』最終回

       午後八時から捜査会議が開かれた。  捜査一課の片岡係長が、ホワイトボードの前に立ってみなを見回した。 「夜の会議を始める。まず、私のほうからだな。現在、北野康則──本名・永井誠次、四十四歳の取調べが進んでいる。永井の自供に従って過去の事件を調べたところ、たしかに五年前、平井で中学一年生男子・永井裕介くんが行方不明になる事件が起こっていた。母親が当時小松川署にいた菊池警部補を訪ねたが、冷たくあしらわれたと、永井は主張している。それがのちに殺害の動機になったということだ。

      麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』最終回

      言語というフィルター――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第25回

      第25回 言語というフィルター  言語学習にある程度の深さでコミットした経験を持つ人は大抵、とある問題に遭遇したことがあるのではないだろうか。すなわち、「その言語に内在する偏見を、どこまで受け入れて内面化し、どこを意識的に拒否して修正するか」という問題である。  言語を使うのは人間であり、特定の言語は、特定の人間集団によって使われながら形作られてきた。人間が自分たちの身の回りの世界をどのように見、どのように認識するか/してきたかによって、「世界観」が築き上げられる。

      言語というフィルター――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第25回

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第4回

      第1峰『密命』其の参 決闘シーンこそが佐伯時代小説の華である  清之助というスターを得たことで、シリーズの主要なメンバーが出揃った。巻を追うごとに腕を上げていく清之助を見守りつつ、一喜一憂せずに読書を楽しめるようになってくる。エピソードの作り方や解決へ至る過程もそつがなく、文章もなめらか。それもそのはず、その頃になると佐伯泰英は遅咲きの新人ではなくなっているのだ。  惣三郎も踏ん張っている。最近ではもっぱら、将軍・吉宗のために汗をかくようになり、剣の冴えも相変わらずだ

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第4回

    • 貫井徳郎さんによる「人類ダメ小説」の集大成『ひとつの祖国』で提示した「なぜ人間はダメなのか」の答え

       貫井徳郎さん(56)の新作は、第2次世界大戦後、共産主義の東日本と民主主義の西日本という二つの国に分断された日本が統一され、30年が経った頃から始まる。主人公は東日本出身の一条昇。統一後の日本は、東日本と西日本の間に根深い経済格差と出身地による差別や偏見が生じていた。  一条も仕事は非正規社員。生活は苦しく、将来の夢も描けない。しかし、東日本出身者は似た境遇と捉え、格別の不満も持たずに生きていた。  そんな一条の人生は、東日本の独立国家化を目指すテロ組織〈MASAKAD

      貫井徳郎さんによる「人類ダメ小説」の集大成『ひとつの祖国』で提示した「なぜ人間はダメなのか」の答え

      麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第26回

      「五年前、手島恭介が郷田裕治の命令を受けて、廃屋などを探していたことがわかっている。今回おまえは手島が見つけた建物の近くで、あらためて廃屋を探し、死体遺棄に使った。郷田が起こした誘拐事件への復讐だったからだな。自分だけのこだわりでもあっただろうし、あわよくば警察に過去の事件を思い出させようとしたのか」 「そうですね……。五年前の事件と結びつけられる刑事がいれば、たいしたものだと思いました。まあ結局、誰ひとり気づかなかったようですが」  悔しいが、彼の言うとおりだ。尾崎と広

      麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第26回

    • 「10年間、お忙しいあなたの代わりに読んできました」という斎藤美奈子の最新刊『あなたの代わりに読みました』ってどんな本? 「はじめに」特別公開!

      ネット書店の検索で「読書」と入力すると、ざっと1万件がヒットする。読書の効用を説いた本、効果的な読書術をレクチャーした本、古今東西の必読書を列挙した本。  驚きました。世の中には読書先生がこんなにいたのか!  彼らは唱える。書物は人類の知恵の宝庫、教養が身につくのは読書だけ、よりよい人生は読書から。その通り! しかし半面それは「教えたがり」が世の中にいかに多いかを示してもいる。同様に「教えたがり」が群雄割拠しているのは文章術の世界で、そのため私はかつて文章先生本を茶化した不埒

      「10年間、お忙しいあなたの代わりに読んできました」という斎藤美奈子の最新刊『あなたの代わりに読みました』ってどんな本? 「はじめに」特別公開!

    • 「認知症の人をどこまで治療すればいいのか」読者に突きつけ続ける難題…現役医師による医療サスペンスの傑作『生かさず、殺さず』/日髙明氏による解説を特別掲載!

      「認知症小説」で、タイトルが『生かさず、殺さず』。なんだか不穏だが、読み終わると、たしかにこの小説は「生かさず、殺さず」の物語だと思える。  久坂部羊さんには本作のほかに、認知症をテーマとした作品がある。『老乱』(2016年)は、認知症が進行していく戸惑いや怒りを本人とその家族という二つの視点で活写していた。『老父よ、帰れ』(2019年)は、認知症になった父親を自宅で介護する家族の苦労や近隣との摩擦を描いていた。  本人、家族、地域の人々の立場で認知症を扱ったこれらの作品

      「認知症の人をどこまで治療すればいいのか」読者に突きつけ続ける難題…現役医師による医療サスペンスの傑作『生かさず、殺さず』/日髙明氏による解説を特別掲載!