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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッ…

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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

マガジン

  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 216本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 年森瑛:連載エッセイ「バッド入っても腹は減る」

    パスタを茹でながら、キャベツを煮込みながら、一冊の本をじっくり読む――。いちばん読書がはかどるのはキッチンだ。いま再注目の新人作家による、おいしい読書日記連載スタート。毎月15日更新予定。

  • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

    平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

  • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」

    文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する連載がスタート! 毎月10日に配信予定。

  • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」

    喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。

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web TRIPPERへ、ようこそ

はじめまして。 web TRIPPERにお運びいただき、ありがとうございます。 このサイトは、朝日新聞出版が発行している季刊文芸誌「小説トリッパー」のweb版です。 朝日新聞出版の文芸部門の源流は、1879(明治12)年にまでさかのぼります。この年に朝日新聞が創刊し、その10月には文芸誌を創刊しています。 140年以上の歴史の中で、朝日新聞グループの文芸部門は、いつの世も綺羅星のような作品を送り続けてきました。 最初期から現在までつづく新聞本紙の連載小説、そして「週

  • 「仏教文学の新しいジャンルを切り拓いてきたと言ってもいい」伊藤比呂美さん話題の単行本がついに文庫化!/『いつか死ぬ、それまで生きる わたしのお経』曹洞宗僧侶・藤田一照さんによる文庫解説を公開

     伊藤比呂美さんは、「ひろみ」と呼ばれると快感を感じると言う。だから、僕は彼女のことをいつも「比呂美さん」と呼ぶことにしている。僕と比呂美さんは二〇一四年八月一日の夜、名古屋市内のとある居酒屋で初めて顔を合わせた。僕が一九五四年生まれ、彼女が一九五五年生まれだから、その年、僕は還暦を迎え、彼女は還暦一年前というタイミングだったことになる。お互いいい歳になってからの邂逅だ。もっとも僕の方は、東京大学の駒場の学生だった頃から彼女の存在を知っていた。身体や性、セックスをテーマに過激

  • 日本刀の魅力に溢れた傑作時代小説連作集/山本兼一著『狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎』末國善己氏による解説を特別掲載!

     日本刀は、“武士の魂”といわれる。だが、源平合戦の昔から恩賞として家臣に贈られることもあった刀剣は、切れ味、刃こぼれしないといった実用性と同じくらい、鑑賞用として、稀少性はもとより地鉄や刃文の美しさなども愛でられていた。  特に、戦乱が終わった江戸時代に入ると、刀剣は美術品、贈答品としての価値が重視されるようになり、鞘、柄、鐔などの装飾品にも趣向を凝らすようになる。美術品としての日本刀に着目した本書『狂い咲き正宗』は、徳川将軍家の刀剣を管理する御腰物奉行・黒沢勝義の嫡男で

    • 年森瑛「バッド入っても腹は減る」第6回

       食事が苦手だ。  理由はいくつかあって、まず基本的に胃が弱い。冷たい牛乳を飲めばたちまち吐き気を催し、ケンタッキーを食べれば下痢をする。ややこしいことにコンディションがまちまちなので、おかわりできる日もあれば半分以上残す日もある。  偏食でもあるため「食べ物みのあるもの」を食べられない時期が定期的に訪れる。「食べ物みのあるもの」とは米・肉魚・野菜のような一般的な食卓に出されるすべてを指す。先週はパルムのロイヤルミルクティー味だけ食べていた。そして腹を下した。当然である。その

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      216本
    • 年森瑛:連載エッセイ「バッド入っても腹は減る」
      6本
    • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』
      10本
    • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」
      7本
    • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」
      4本
    • 李琴峰:連載エッセイ「日本語からの祝福、日本語への祝福」
      26本

    記事

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第10回

      第4峰『酔いどれ小籐次』其の弐 庶民派ヒーロー・小籐次の活躍は、作者から読者へのエールだ 包丁研ぎと野菜売りのコンビで商売繁盛  もろもろの準備が整いスタートする小籐次の新たな活躍。まずは生活の糧を得るところからだが、その前に充実の脇役陣を紹介しておこう。  佐伯時代劇では主人公を支援する地元有力者が欠かせない。彼らは生活の面倒を見てくれたり、仕事を与えてくれたり、ポンと現金を与えてくれることもある太っ腹な商人だ。 『酔いどれ小籐次』では第1巻で御鑓を奪い取るた

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第10回

    • 【全文公開】佐々木敦さんによる本格文芸評論、『成熟の喪失』から「はじめに」を全文公開!

      成熟の喪失 庵野秀明と〝父〟の崩壊 佐々木敦はじめに  本書は、庵野秀明という映像作家についての長編評論です。  一九九五年に放映が開始され、社会現象とも言うべき大ヒットとなったTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督として世にその存在を知らしめた庵野は、その後も四半世紀以上にわたってリメイク/リブートを続けた「エヴァ」シリーズを軸として、実写映画を含む数々の話題作によって、作家としての人気と評価を高めてきました。庵野に対する世評は二〇二一年に公開されたシリーズ完結編『シ

      【全文公開】佐々木敦さんによる本格文芸評論、『成熟の喪失』から「はじめに」を全文公開!

    • この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように――。窪美澄さん『朔が満ちる』早見和真さんによる文庫版解説を特別公開

      家に帰ると窓から"あたたかい光"が漏れている、ただそれだけの幸せを諦めたくないと思った。(女優・奈緒さん) この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように――。(小説家・早見和真さん)  心臓で読む小説だ。  この解説の依頼を受けるずっと前、刊行されたばかりの本書『朔が満ちる』を読んだときの気持ちを、いまでも鮮明に覚えている。  この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように──。  僕自身が犯罪をテーマにした小説を書いている最中だったことも

      この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように――。窪美澄さん『朔が満ちる』早見和真さんによる文庫版解説を特別公開

    • 「ひきこもりの季節」とは?/篠田節子著『四つの白昼夢』田中兆子さんによる書評を特別公開

      思い込みは、気持ちよくひっくり返される  2024年初夏の現在、東京の街を歩く人の半数以上はマスクをしておらず、特に若者の多くはのびやかに顔をさらしている。コロナ禍の真っ只中に「マスクで顔を隠すことの安心感を覚えた若者は、もはやコロナが終わってもマスクを手放すことはないだろう」という言説がまことしやかに流れたが、その予想は見事に外れた。  とはいえ、マスクで顔を隠すことも隠さないことも同調圧力という同じ理由なのかもしれず、コロナ禍によって私たちの心性は変わったのか、それと

      「ひきこもりの季節」とは?/篠田節子著『四つの白昼夢』田中兆子さんによる書評を特別公開

      「やっ……てますね」(『不適切にもほどがある! 』)――川添愛「パンチラインの言語学」第7回

       今回取り上げるのは、今年一月から三月にかけて放映された宮藤官九郎脚本の人気ドラマ『不適切にもほどがある!』だ。各所で話題になった本作、私も毎週楽しみに見ていた。謎のバス(実はタイムマシン)に乗って1986年から2024年にタイムスリップした中学体育教師、小川市郎(演・阿部サダヲ)が時代を飛びこえながら活躍し、昭和と令和のギャップを浮き彫りにするコメディだ。  昭和生まれの人間からすると懐かしいネタが満載で、市郎の娘でスケバンの純子(演・河合優実)が市郎に買ってきてもらったカ

      「やっ……てますね」(『不適切にもほどがある! 』)――川添愛「パンチラインの言語学」第7回

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第9回

      第4峰『酔いどれ小籐次』 下級武士の逆転人生! オヤジの夢を叶える人気シリーズ 冴えないオヤジが藩主のために立ち上がる こんなにダメな主人公が、かつていただろうか  いよいよ全オヤジ読者が拍手喝采した会心作の登場だ。佐伯時代小説は数あれど、中高年男性ファンにアンケートを取ったら、人気ナンバーワンの主人公は本作の赤目小籐次だろうと思うほど、いい夢を見せてくれる。  時代小説の主人公はだいたい見た目のいい2枚目として描かれる。これまで読んできた佐伯作品のヒーローた

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第9回

      上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第4回

       こんにちは。お友達にも言えないことを打ち明けてくださりありがとうございます。  まず、めろんぱんさんも、好きになった相手の方も、素晴らしい人格の持ち主で驚きました。   私が10〜20代前半の頃なんて、今思えばどうしようもない恋愛ばかりしていました。高校までまともに恋愛をしたことがなかった私は、大学に通い始めてから、急に距離を詰めてくる男性が複数いることに驚きました(私は異性愛者です)。それは私が上京したての若い女でチョロそうだったから、それ以上の意味なんてなかったと思いま

      上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第4回

    • 【特別試し読み】鴻巣友季子さん集中連載「小説、この小さきもの~孤独、共感、個人~」第1部から「はじめに」と第2章冒頭公開!/なぜ人は小説に共感を求めようとするのか? 小説が書かれる・読まれる歴史の背景を遡りながら、その起源と本質に迫る本格評論

      小説、この小さきもの ~孤独、共感、個人~ 鴻巣友季子第一部 小説、感情、孤独 はじめに  小説とはなにか? などという問いはあまりにプリミティヴに響くだろう。  西洋の物語の起源には詩があった。文学とは長らくおもに韻文の詩を意味していた。しかしどうだろう、いまの世界を見わたしてみると、西洋で生まれた散文文芸である小説が文学の中心であるかのごとく扱われている国や文化圏は多く、日本もそのひとつだ。  どうして小説はときに「涙が止まらない」「切なさ一〇〇パーセント」「共感しか

      【特別試し読み】鴻巣友季子さん集中連載「小説、この小さきもの~孤独、共感、個人~」第1部から「はじめに」と第2章冒頭公開!/なぜ人は小説に共感を求めようとするのか? 小説が書かれる・読まれる歴史の背景を遡りながら、その起源と本質に迫る本格評論

    • 作家・麻見和史さんが小説創作の極意を特別公開!/新シリーズ『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』刊行記念エッセイ

      猟奇という舞台装置  ウェブ連載をやってみませんか、というお話をいただいたとき、最初に頭に浮かんだのは「矛盾なく最後まで書けるだろうか」ということだった。  デビューして今年で18年目になるのだが、私はずっと警察小説の書き下ろしをやってきたので、連載は経験したことがない。書き下ろしの場合、執筆、修正、校正などすべての作業が終わってから作品は世に出ることになる。しかしウェブ連載では事情がまったく違う。月に数回サイトに文章が掲載されるとなれば、その回数だけ締切がやってくる。充

      作家・麻見和史さんが小説創作の極意を特別公開!/新シリーズ『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』刊行記念エッセイ

    • 『帝国の慰安婦』著者・朴裕河さんが鎌倉で辿る、歴史の「強さ」と「弱さ」/文庫版刊行記念エッセイ公開

      鎌倉に暮らせば 3月から、鎌倉で暮らしている。半年や1年とかの長期滞在ではないから「暮らす」という言葉は相応しくないのかもしれないが、宿に寝泊まりするのとは違って掃除洗濯もするし、庭の梅の木から落ちてきた梅を拾っては蜂蜜漬けにしてみたりもしているのだから、自分では「暮らす」気に、すっかりなっている。  もともとは冬休みを使って東京に3週間ほど滞在する予定だった。それが、11年前に韓国で出した『帝国の慰安婦』に関する裁判の大法院(最高裁)判決が昨年の秋にようやく出、民事裁判も

      『帝国の慰安婦』著者・朴裕河さんが鎌倉で辿る、歴史の「強さ」と「弱さ」/文庫版刊行記念エッセイ公開

      日本語からの祝福、日本語への祝福――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」最終回

      第26回 日本語からの祝福、日本語への祝福  先日、仕事で訪れたバンクーバーの空港でたまたま隣にいた日本人女性と少し立ち話をした。私と同世代に見える彼女はパートナーと一緒にバンクーバーに住んでいて、先住民をサポートする仕事をしているという。なんでカナダへ移住しようと思ったの? と訊くと、彼女は少し考えてから、 「日本でも就職活動をしていたけど、なんか、馬鹿馬鹿しくなって」  と、はにかみながら答えた。  女性の気持ちはよく分かる。日本の就職活動(新卒採用)ほど、

      日本語からの祝福、日本語への祝福――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」最終回

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第8回

      第3峰『夏目影二郎始末旅』其の弐 真のテーマは男の友情だった!? 荒唐無稽な活劇を支える写真家の描写力 『夏目影二郎始末旅』を、著者は約15年間かけて書き上げた。全15巻だから、佐伯泰英の作品群にあって、さほど長いほうではない。でも、読みごたえはたっぷり味わえる。中身が濃いのだ。中盤までは各巻400ページを越すボリューム。さらに、光文社文庫の〈決定版〉では、巻末ごとに『佐伯泰英外伝』と題し、重里徹也氏による評伝まで加えるサービスぶりだ。  じっくり書いていったのは、

      北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第8回