web TRIPPER

季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ… もっとみる

web TRIPPER

季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

マガジン

  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 140本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』

    2023年8月21日発売の宮内悠介さん『ラウリ・クースクを探して』に関する記事をまとめています。

  • 塩田武士『存在のすべてを』

    2023年9月7日発売の塩田武士さん『存在のすべてを』に関する記事をまとめています。

  • 森絵都『獣の夜』

    2023年7月7日発売の森絵都さん『獣の夜』に関する記事をまとめています。

  • 李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」

    台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。

朝日新聞出版の文芸書

書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

すべて見る
  • 140本

宮内悠介さん「ラウリ・クースクを探して」書評&インタビューまとめ

「好書好日」書評 「日出る処のニューヒット」(第6回)   評者・杉江松恋さん(9月21日掲載) 「週刊文春」書評 評者・米光一成さん(9月21日発売号) 「産経新聞」書評 評者・ホラン千秋さん(9月9日掲載) 「日経新聞」書評(9月9日掲載) ※リンク先は有料記事です 「週刊新潮」書評 評者・石井千湖さん(9月9日発売号) Youtube『松井・杉江の「エンタメ丼」2023年9月号・その3』 杉江松恋さん紹介 「週刊ポスト」書評(9月4日発売号) 「毎日新聞」

スキ
1

描きたかったのは、“何もなさなかった人物”/『ラウリ・クースクを探して』刊行記念!宮内悠介さんインタビュー

 テーブルに並ぶ硬いパン、風の匂い、どこか灰色の街並み。宮内悠介さん(44)の新刊『ラウリ・クースクを探して』のページをめくるたび、土地の空気に誘われ、その世界を生きているかのような感覚になった。  舞台はエストニア。1977年から、物語は始まる。  幼い頃から数字に魅せられていたラウリは、ある日コンピュータと出合い、そのなかに自分だけの世界を見いだし、やがてソ連のサイバネティクス研究所で働くことを夢見るようになる。仲間たちと儚くも濃い人間関係を築きながら、前へと進み続け

スキ
8

リアルな心理描写と驚愕のラストに震撼する『悪い女 藤堂玲花、仮面の日々』/大矢博子氏による解説を期間限定で特別掲載!

 本書は2014年に刊行された『ダナスの幻影』を大幅加筆修正のうえ改題・文庫化したものである。ノンシリーズとしてはデビュー作以来の2作目。近年の吉川英梨の活躍に慣れた読者からすると異色作と言ってもいいこの作品を、ようやく文庫でお届けできることを嬉しく思う。  吉川英梨は2008年、第3回日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞を受賞した『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)でデビュー。ブレイクのきっかけとなったのは2011年、デビュー2作目として出された『アゲハ 

スキ
8

塩田武士『存在のすべてを』刊行記念インタビュー/「虚」の中で「実」と出会う

 情熱を失った新聞記者が再び「書きたい」と奮い立つ題材に出会うという出発点はデビュー作『盤上のアルファ』(2011年)、子供たちの未来を奪う犯罪への憤りという点では代表作として知られる社会派ミステリー『罪の声』(2016年)、フェイクニュースが蔓延し虚実の見極めが難しい現代社会のデッサンという点では吉川英治文学新人賞受賞作『歪んだ波紋』(2018年)、関係者たちの証言によって犯人像が炙り出される構成上の演出は『朱色の化身』(2022年)……。塩田武士の最新作『存在のすべてを』

スキ
12

宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』

2023年8月21日発売の宮内悠介さん『ラウリ・クースクを探して』に関する記事をまとめています。

すべて見る
  • 4本

宮内悠介さん「ラウリ・クースクを探して」書評&インタビューまとめ

「好書好日」書評 「日出る処のニューヒット」(第6回)   評者・杉江松恋さん(9月21日掲載) 「週刊文春」書評 評者・米光一成さん(9月21日発売号) 「産経新聞」書評 評者・ホラン千秋さん(9月9日掲載) 「日経新聞」書評(9月9日掲載) ※リンク先は有料記事です 「週刊新潮」書評 評者・石井千湖さん(9月9日発売号) Youtube『松井・杉江の「エンタメ丼」2023年9月号・その3』 杉江松恋さん紹介 「週刊ポスト」書評(9月4日発売号) 「毎日新聞」

スキ
1

描きたかったのは、“何もなさなかった人物”/『ラウリ・クースクを探して』刊行記念!宮内悠介さんインタビュー

 テーブルに並ぶ硬いパン、風の匂い、どこか灰色の街並み。宮内悠介さん(44)の新刊『ラウリ・クースクを探して』のページをめくるたび、土地の空気に誘われ、その世界を生きているかのような感覚になった。  舞台はエストニア。1977年から、物語は始まる。  幼い頃から数字に魅せられていたラウリは、ある日コンピュータと出合い、そのなかに自分だけの世界を見いだし、やがてソ連のサイバネティクス研究所で働くことを夢見るようになる。仲間たちと儚くも濃い人間関係を築きながら、前へと進み続け

スキ
8

【書店員さんからの感想続々!】素晴らしい読後感に出会える小説だった――宮内悠介さん『ラウリ・クースクを探して』感想まとめ

 コンピュータープログラムに魅せられたラウリ。プログラムだけが彼の友達だった。孤独だったラウリに生涯忘れられない時、切っても切れない友情が輝き出す。国の体制に翻弄されながらも心には確かに彼女、彼らとのつながりが存在した。自分の真の気持ちと彼らの気持ちはすれ違い、途中歯がゆさでいっぱいになった。  読み終わり、こんな人とのつながりがあってほしい。こんな友情があってよかったと心から思った。  わたしの正体を知った時、心が震えて、胸がいっぱいになった。 (ジュンク堂書店滋賀草津店 

スキ
12

宮内悠介さんがコンピュータ・プログラミングを通して描く物語/『ラウリ・クースクを探して』刊行記念エッセイ特別公開

 小学生のころ、父の仕事の関係でアメリカにいて、夏休みのたびに一時帰国していた。祖父母の家に泊めてもらい、その近くに住んでいた従兄弟に遊んでもらった。これが、二週間くらいのことであったのか、一ヵ月くらいのことであったのかは、もう記憶にない。ただ、この一時帰国がとても楽しみであったことはよく覚えている。八〇年代の終わりごろのことで、まだ景気がよく、存命だった祖父が車を運転して皆を伊豆につれて行ったりした。池袋のサンシャインシティが好きだった。どこもかしこも明るくて、日本という国

スキ
12

塩田武士『存在のすべてを』

2023年9月7日発売の塩田武士さん『存在のすべてを』に関する記事をまとめています。

すべて見る
  • 2本

塩田武士『存在のすべてを』刊行記念インタビュー/「虚」の中で「実」と出会う

 情熱を失った新聞記者が再び「書きたい」と奮い立つ題材に出会うという出発点はデビュー作『盤上のアルファ』(2011年)、子供たちの未来を奪う犯罪への憤りという点では代表作として知られる社会派ミステリー『罪の声』(2016年)、フェイクニュースが蔓延し虚実の見極めが難しい現代社会のデッサンという点では吉川英治文学新人賞受賞作『歪んだ波紋』(2018年)、関係者たちの証言によって犯人像が炙り出される構成上の演出は『朱色の化身』(2022年)……。塩田武士の最新作『存在のすべてを』

スキ
12

【期間限定公開!】塩田武士著『存在のすべてを』 序章 ―誘拐―

 塩田武士さんが『週刊朝日』に一年以上にわたって連載された渾身の作品『存在のすべてを』が遂に2023年9月7日発売されました。 著者渾身の到達点、圧巻の結末に心打たれる最新作。 『罪の声』に並び立つ新たなる代表作の誕生です。  発売を記念して、「二児同時誘拐」からスタートする「序章 ―誘拐―」を、8月23日(水)から9月20日(水)までの期間限定で先行公開いたします。緊張感溢れる物語のドライブ感を充分に味わってください! ■序章 ―誘拐―【大日新聞連載企画『誘拐ドキュメ

スキ
20

森絵都『獣の夜』

2023年7月7日発売の森絵都さん『獣の夜』に関する記事をまとめています。

すべて見る
  • 4本

「笑いあり涙あり感動あり!短編集ならではの醍醐味」書評ライターの松井ゆかりさんが、大好評の森絵都さん最新刊『獣の夜』をレビュー!

 森絵都作品の魅力はいくつも列挙できるが、思わず笑ってしまうユーモアというのも間違いなく筆頭にカウントされる要素のひとつだ。本書でそれがとりわけ顕著に感じられるのは、表題作であろうか。主人公の紗弓が夜の約束に備えて仕事を片づけていたところに、一本の電話が入った。予期せぬ頼みごとをしてきたのは、大学時代に同じサークルだった泰介だ。夜の約束というのはやはりサークル仲間で現在は泰介の妻となっている美也のサプライズ誕生会のことなのだが、泰介は自分が彼女をパーティー会場に連れて行くはず

スキ
8

※終了【期間限定 全文公開】森絵都さん待望の新刊『獣の夜』発売記念!収録短編から「太陽」を期間限定で特別全文公開!

※期間限定の試し読みは終了しました ■書店員さんの感想も! ■森絵都『獣の夜』(朝日新聞出版) ■書籍データ

スキ
12

【書店員さんからの感想続々!】森絵都『獣の夜』

■『獣の夜』書店員さん感想集 とてもよかったです! どのお話も希望に溢れていて。彼ら(登場人物たちが)がこの先どんな選択をしても、明るい未来を生きる予感がして、幸せな気持ちになります。表題作『獣の夜』はちょっと他の作品と違う、まさに肉々しい話でした。がニヤリとしながら彼女たちを応援しました。 コロナ禍の真っ最中にこの作品群に触れていたら!今とは違う感情が沸いていたかも。読むタイミングで思うことが違う作品たちだと感じました。全部好きな作品たちで一番が選べません・・・! ちょっ

スキ
11

「容赦はないが愛はある」とは一体どういうことなのか? 話題の作家・阿部暁子さんが、作品が大好きという森絵都さん最新刊『獣の夜』について綴ります

 私は森絵都さんほど、やさしい物語を書く人はいないと思っている。ただ、そのやさしさは、甘さや手加減とは無縁のものだ。  本作には7編の短編が収録されている。「雨の中で踊る」は、コロナ禍のさなかにリフレッシュ休暇を取らされた男性が「フットマッサージでも行ってきたら」と妻に送り出される(追い出される)ところから始まり、海パンと海と“セッション”によってこんな場所まで到達するのかと物語の怒涛の広がりに圧倒される。「Dahlia」はわずか5ページのディストピア小説、そこに凝縮された

スキ
7

李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」

台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。

すべて見る
  • 16本

指数関数的成長期――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第16回

 第16回 指数関数的成長期  何かが「上達」するというのはどういうことか、時々考える。  この問題は「どれくらい上達すれば『上達した』と言えるのか」、と言い換えられるかもしれない。  これは語学についてだけの疑問ではない。例えば学術の世界において、特定の分野についてどれくらい習熟していれば、その分野の専門家と名乗っていいのか、分からなくなることがある。  もちろん、客観的な指標はいくつかある。現代社会において学位が代表的なものだろう。ある分野で博士号を持っている人な

スキ
4

理不尽な海藻――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第15回

第15回 理不尽な海藻  大日本帝国時代にはいくつかの帝国大学があり、日本の植民地だった台湾の台北帝国大学もそのうちの一つだった。戦後、台湾は日本領でなくなり、台北帝国大学も国立台湾大学に名を改められ、今でも台湾随一の大学として知られている。「都の西北」といえば早稲田大学と分かるように、「赤門のある大学」といえば東京大学と分かるように、「台北メトロ公館駅の大学」「羅斯福路の学府」といえば、少なくとも台湾の高校生には台湾大学と分かる。東京の大学には「東大、早慶、MARCH」の

スキ
6

アイスブルーの蛙――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第14回

第14回 アイスブルーの蛙  青春って、どんな色をしているのだろうか。  これは愚問に思える。「青春」というのだから青に決まっている。しかし、日本語の「青」がどんな色を指すのかかなり曖昧だ。「青空」という時にそれは「ブルー」であり、「青信号」という時にそれは「グリーン」である。ブルーとグリーンとで、印象はだいぶ異なる。  一応、「青春」の「青」がどの色を指すのか、正解はある。「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」、これらの言葉は中国の五行説に由来するもので、五行説では、季節と

スキ
11

四文字の宇宙――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第13回

第13回 四文字の宇宙 公開を終了しました。最新三回分を公開しています。 ※毎月1日に最新回を公開予定です。 李琴峰さんの朝日新聞出版の本 【好評3刷】生を祝う

スキ
10