なぜ江藤淳の「喪失」は書き換えられなければならなかったのか?/佐々木敦著『成熟の喪失』西村紗知さんによる書評を特別公開!
成熟論が成熟する方法 本書は佐々木敦が「日本的成熟」を世に問うた仕事で、メインの対象は庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と江藤淳『成熟と喪失』である。著者は、『ラブ&ポップ』『キューティーハニー』といった実写作品から、「エヴァ」以降の「シン」シリーズに至るまでの庵野監督作品を通じ、主人公の「成熟」の史的分析に取り組んでいる。キーワードは「他者」「公と私」である。例えば、『シン・ゴジラ』で描かれているのは、「自信と確信を持って積極的に「公」の一部になることで自己実現を
『納税、のち、ヘラクレスメス のべつ考える日々』発売!! 巻末収録の品田遊さん×古賀及子さん対談「日記を毎日書くふたり」冒頭公開
●対談 品田遊×古賀及子 日記を毎日書くふたり目的なく日記を毎日投稿しているのって怖いですよね ●古賀及子(以下、古賀) 日記の本を出してから、すっかり日記枠の人になってしまいました。品田さんは、そもそもどうして日記を書き始めたんですか? ●品田遊(以下、品田) Twitterに140字以内で自分の考えを書くことに自分が慣れ過ぎてしまっているなと思ったんです。拡散に直結しないような場所で、画用紙に描くような散文を好き勝手に書きたくて始めました。最初は不定期で書こうかなと思
第10回林芙美子文学賞大賞、大原鉄平氏の受賞後第一作「八月のセノーテ」が「小説トリッパー」24年秋季号に早くも掲載!冒頭部分を特別公開
「八月のセノーテ」 この街は少しずつ沈んでいるらしい。 森本仁寡はその話を同級生のりょうから聞いた。りょうは塾でもトップクラスの成績で、下らない噂話に流されるタイプではなかったので、きっとその話は本当だろうと仁寡は思った。この街は少しずつ沈んでいる。 「年に何ミリだか、何センチだか、知んないけどね」 りょうは真新しい赤色の自転車に飛び乗るようにまたがり、ペダルに足をかけ、仁寡を振り返って言った。 「全部沈んじゃったら、あんたはどうする?」 日が傾きつつある放課後、りょう
鶴谷香央理:連載コミック「傲慢と善良」(原作・辻村深月)
【単行本第1巻、9月13日発売!!】 婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。彼女はなぜ姿を消したのか。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる――。 現代社会の生きづらさを恐るべき解像度で描き、多くの共感を呼んだ、2023年最大のベストセラー小説『傲慢と善良』を、名手・鶴谷香央理がコミカライズ!! 【毎月20日 11時更新予定】 小説公式サイトはこちら https://publications.asahi.com/feature/gouman/
年森瑛:連載エッセイ「バッド入っても腹は減る」
パスタを茹でながら、キャベツを煮込みながら、一冊の本をじっくり読む――。いちばん読書がはかどるのはキッチンだ。いま再注目の新人作家による、おいしい読書日記連載スタート。毎月15日更新予定。
川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」
文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する連載がスタート! 毎月10日に配信予定。