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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッ…

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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

マガジン

  • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

    平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 214本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」

    文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する連載がスタート! 毎月10日に配信予定。

  • 上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」

    喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。

  • 李琴峰:連載エッセイ「日本語からの祝福、日本語への祝福」

    台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

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  • 10本

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第10回

第4峰『酔いどれ小籐次』其の弐 庶民派ヒーロー・小籐次の活躍は、作者から読者へのエールだ 包丁研ぎと野菜売りのコンビで商売繁盛  もろもろの準備が整いスタートする小籐次の新たな活躍。まずは生活の糧を得るところからだが、その前に充実の脇役陣を紹介しておこう。  佐伯時代劇では主人公を支援する地元有力者が欠かせない。彼らは生活の面倒を見てくれたり、仕事を与えてくれたり、ポンと現金を与えてくれることもある太っ腹な商人だ。 『酔いどれ小籐次』では第1巻で御鑓を奪い取るた

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北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第9回

第4峰『酔いどれ小籐次』 下級武士の逆転人生! オヤジの夢を叶える人気シリーズ 冴えないオヤジが藩主のために立ち上がる こんなにダメな主人公が、かつていただろうか  いよいよ全オヤジ読者が拍手喝采した会心作の登場だ。佐伯時代小説は数あれど、中高年男性ファンにアンケートを取ったら、人気ナンバーワンの主人公は本作の赤目小籐次だろうと思うほど、いい夢を見せてくれる。  時代小説の主人公はだいたい見た目のいい2枚目として描かれる。これまで読んできた佐伯作品のヒーローた

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北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第8回

第3峰『夏目影二郎始末旅』其の弐 真のテーマは男の友情だった!? 荒唐無稽な活劇を支える写真家の描写力 『夏目影二郎始末旅』を、著者は約15年間かけて書き上げた。全15巻だから、佐伯泰英の作品群にあって、さほど長いほうではない。でも、読みごたえはたっぷり味わえる。中身が濃いのだ。中盤までは各巻400ページを越すボリューム。さらに、光文社文庫の〈決定版〉では、巻末ごとに『佐伯泰英外伝』と題し、重里徹也氏による評伝まで加えるサービスぶりだ。  じっくり書いていったのは、

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北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第7回

第3峰『夏目影二郎始末旅』 血と汗と涙が炸裂する、ハードボイルド股旅ロマン ダークヒーロー夏目影二郎が関八州の悪を討つ 続編もスピンオフもない全15巻完全燃焼の傑作  遅咲き時代小説家の佐伯泰英が、デビュー作の『密命』に続いて放った長編シリーズが本作『夏目影二郎始末旅』だ。刊行時期は2000年から2014年。当初は日文文庫から発行されたが、途中から版元が変わり、光文社文庫として全15巻で完結している。  まず最初に言っておきたいのが、この作品が佐伯時代小説にあって

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朝日新聞出版の文芸書

書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

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  • 214本

【全文公開】佐々木敦さんによる本格文芸評論、『成熟の喪失』から「はじめに」を全文公開!

成熟の喪失 庵野秀明と〝父〟の崩壊 佐々木敦はじめに  本書は、庵野秀明という映像作家についての長編評論です。  一九九五年に放映が開始され、社会現象とも言うべき大ヒットとなったTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督として世にその存在を知らしめた庵野は、その後も四半世紀以上にわたってリメイク/リブートを続けた「エヴァ」シリーズを軸として、実写映画を含む数々の話題作によって、作家としての人気と評価を高めてきました。庵野に対する世評は二〇二一年に公開されたシリーズ完結編『シ

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この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように――。窪美澄さん『朔が満ちる』早見和真さんによる文庫版解説を特別公開

家に帰ると窓から"あたたかい光"が漏れている、ただそれだけの幸せを諦めたくないと思った。(女優・奈緒さん) この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように――。(小説家・早見和真さん)  心臓で読む小説だ。  この解説の依頼を受けるずっと前、刊行されたばかりの本書『朔が満ちる』を読んだときの気持ちを、いまでも鮮明に覚えている。  この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように──。  僕自身が犯罪をテーマにした小説を書いている最中だったことも

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「ひきこもりの季節」とは?/篠田節子著『四つの白昼夢』田中兆子さんによる書評を特別公開

思い込みは、気持ちよくひっくり返される  2024年初夏の現在、東京の街を歩く人の半数以上はマスクをしておらず、特に若者の多くはのびやかに顔をさらしている。コロナ禍の真っ只中に「マスクで顔を隠すことの安心感を覚えた若者は、もはやコロナが終わってもマスクを手放すことはないだろう」という言説がまことしやかに流れたが、その予想は見事に外れた。  とはいえ、マスクで顔を隠すことも隠さないことも同調圧力という同じ理由なのかもしれず、コロナ禍によって私たちの心性は変わったのか、それと

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【特別試し読み】鴻巣友季子さん集中連載「小説、この小さきもの~孤独、共感、個人~」第1部から「はじめに」と第2章冒頭公開!/なぜ人は小説に共感を求めようとするのか? 小説が書かれる・読まれる歴史の背景を遡りながら、その起源と本質に迫る本格評論

小説、この小さきもの ~孤独、共感、個人~ 鴻巣友季子第一部 小説、感情、孤独 はじめに  小説とはなにか? などという問いはあまりにプリミティヴに響くだろう。  西洋の物語の起源には詩があった。文学とは長らくおもに韻文の詩を意味していた。しかしどうだろう、いまの世界を見わたしてみると、西洋で生まれた散文文芸である小説が文学の中心であるかのごとく扱われている国や文化圏は多く、日本もそのひとつだ。  どうして小説はときに「涙が止まらない」「切なさ一〇〇パーセント」「共感しか

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川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」

文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する連載がスタート! 毎月10日に配信予定。

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  • 7本

「やっ……てますね」(『不適切にもほどがある! 』)――川添愛「パンチラインの言語学」第7回

 今回取り上げるのは、今年一月から三月にかけて放映された宮藤官九郎脚本の人気ドラマ『不適切にもほどがある!』だ。各所で話題になった本作、私も毎週楽しみに見ていた。謎のバス(実はタイムマシン)に乗って1986年から2024年にタイムスリップした中学体育教師、小川市郎(演・阿部サダヲ)が時代を飛びこえながら活躍し、昭和と令和のギャップを浮き彫りにするコメディだ。  昭和生まれの人間からすると懐かしいネタが満載で、市郎の娘でスケバンの純子(演・河合優実)が市郎に買ってきてもらったカ

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偉い人にはそれがわからんのです(よ)(『機動戦士ガンダム』)――川添愛「パンチラインの言語学」第6回

 前回の予告どおり、今回も『機動戦士ガンダム』を取り上げる。前回はニュータイプの話でお茶を濁してしまい、言語学要素がいつにも増して薄めだった自覚はある。できれば今回もアムロとララァの謎会話のことや、ララァに「大佐、どいてください、邪魔です!」と言われてしまった可哀想なシャアの話とかをしたいものだが、そこをぐっとこらえて、もうちょっと言語学寄りに『ガンダム』のセリフを眺めてみたいと思う。  この作品の特徴の一つとして、一部のキャラのセリフの「芝居がかった感じ」が挙げられる。た

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「あの鳥のこと、好きだったのかい?」(『機動戦士ガンダム』)――川添愛「パンチラインの言語学」第5回

 今回はアニメ『機動戦士ガンダム』を取り上げる。なぜだ。坊やだからさ……ではなくて、前回の連載でなにげなく「お子様ゆえのあやまち」というフレーズを書いたのが直接の理由だ。私の頭の中にあったのは、本作のメインキャラの一人「赤い彗星のシャア」のセリフ、「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえのあやまちというものを」なのだが、よく考えたらシャアがこれをどんな場面で言ったのかを完全に忘れていた。それで確認すべく第1話から見始めたら、頭がすっかり「ガンダム脳」になってしまった。  同

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「今のあの子ではムリ」(『ガラスの仮面』)――川添愛「パンチラインの言語学」第4回

 前回の連載が公開される前、私が「南ちゃんは本当に恐ろしい子である」と書いた部分について、校閲の方から「(『ガラスの仮面』での)原文は『おそろしい子!』のようです」との参考情報をいただいた。私も当然『ガラスの仮面』を意識してそのように書いたわけだが、こんな小ネタにもかかわらず、元ネタにまで当たっていただいたことに驚いた。最終的には漢字表記の方が読みやすいと判断したため平仮名表記に直すことはしなかったが、その流れ(?)で『ガラスの仮面』を読み始めた。  まだ全巻は読めていない

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上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」

喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。

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  • 4本

上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第4回

 こんにちは。お友達にも言えないことを打ち明けてくださりありがとうございます。  まず、めろんぱんさんも、好きになった相手の方も、素晴らしい人格の持ち主で驚きました。   私が10〜20代前半の頃なんて、今思えばどうしようもない恋愛ばかりしていました。高校までまともに恋愛をしたことがなかった私は、大学に通い始めてから、急に距離を詰めてくる男性が複数いることに驚きました(私は異性愛者です)。それは私が上京したての若い女でチョロそうだったから、それ以上の意味なんてなかったと思いま

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上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第3回

 水越さん、こんにちは。自分が考えたこともない角度の呪いで、新しい知見を得た気持ちです。  処女信仰という言葉がありますが、私は「科学的理由はないのにそうあった方が望ましい」みたいなことって、処女に限らず全て信仰みたいだなあと思っています。明確なメリットがあるわけじゃないけど、自分の心の経典に書いてあるからそうせざるを得ない、みたいなことってあるじゃないですか。不良やヤンキーが舐められたらキレるのは、その方がメリットがあるからとかではなくて、「舐めてくる相手にはキレろ」と心の

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上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第2回

◇忘れられない、親父からのひと言  岡本さん、こんにちは。  やりきれない呪いですね。お父さん、基本的には良い人なんでしょうね。直接的な加害を与えてきた小学校の先生よりも、尊敬しているはずのお父さんの一言の方が結果的に呪いになってしまったというのを見て、人生ってそういうところあるよな〜と深く頷きました。  ここで世の中の真実のひとつをお伝えしたいのですが、親の言葉って、子どもに言っているふりをして、自分自身に言い聞かせているケースがあるのです。  私は、美術大学の受験

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上坂あゆ美連載「人には人の呪いと言葉」第1回

 さとうさん、こんにちは。  なかなかにハードなお家にお生まれになったんですね。私の家族もほぼ高卒ですし、それ以前に父がギャンブル依存のクズだったためにさまざまな困難がありました。もちろんさとうさんの苦しみと私の苦しみは全く別のものだと思いますが、深く頷きながらご相談を読みました。後天的に育ちが良さそうな人になろうと努力をされたこと、そして実際に育ちが良さそうな人になっていること、本当にすごいです。なかなかできることじゃありません。  私は大学2年ごろ、どうしても受けたい授

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李琴峰:連載エッセイ「日本語からの祝福、日本語への祝福」

台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。

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  • 26本

日本語からの祝福、日本語への祝福――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」最終回

第26回 日本語からの祝福、日本語への祝福  先日、仕事で訪れたバンクーバーの空港でたまたま隣にいた日本人女性と少し立ち話をした。私と同世代に見える彼女はパートナーと一緒にバンクーバーに住んでいて、先住民をサポートする仕事をしているという。なんでカナダへ移住しようと思ったの? と訊くと、彼女は少し考えてから、 「日本でも就職活動をしていたけど、なんか、馬鹿馬鹿しくなって」  と、はにかみながら答えた。  女性の気持ちはよく分かる。日本の就職活動(新卒採用)ほど、

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言語というフィルター――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第25回

第25回 言語というフィルター  言語学習にある程度の深さでコミットした経験を持つ人は大抵、とある問題に遭遇したことがあるのではないだろうか。すなわち、「その言語に内在する偏見を、どこまで受け入れて内面化し、どこを意識的に拒否して修正するか」という問題である。  言語を使うのは人間であり、特定の言語は、特定の人間集団によって使われながら形作られてきた。人間が自分たちの身の回りの世界をどのように見、どのように認識するか/してきたかによって、「世界観」が築き上げられる。

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最適解じゃないほうの――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第24回

第24回 最適解じゃないほうの  移民というのは乾坤一擲のような重大な決断に思える。しかし当然ながら、全ての決断にはそこに至るまでの脈絡がある。  交換留学が終わってから一年半後、私は再び日本に上陸した。今度は一時的な滞在ではなく、移民しようというしっかりとした決意を伴って。  取っかかりは大学院である。交換留学していた一年の間、私は日本の大学院に進学する決意を固めた。まずは修士号を取ってから、博士課程に進学するか、それとも就職するか決めようと考えた。  振り返

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日本語お上手ですね――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第23回

※毎月1日に最新回を公開予定です。この回の公開は終了しました。 李琴峰さんの朝日新聞出版の本 【好評4刷】生を祝う

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