年森瑛「バッド入っても腹は減る」第5回
年度末の記憶がない。
ただでさえ職場の繁忙期だというのに確定申告も重なり、さらに医療費を稼ぐため短編の依頼まで引き受けてしまったため、ここ数ヶ月は土日返上で働き詰めだった。同じく兼業作家で年中激務のサハラさんと毎週末に通話していなければとっくにメンタルは崩壊していただろう。「自分へのご褒美で金曜夜にナゲットを山盛り買って家で食べようとしたらソースがついていなくて、だけど取りに帰る気力もないから結局ケチャップで食べたんですよ」というような、週明けにわざわざ同僚たちに語るほど