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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』

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都内で連続猟奇殺人事件発生! 警察小説の旗手・麻見和史さんによる、新シリーズ始動。
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記事一覧

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第17回

2  捜査資料を参照して、尾崎たちは郷田を撥ねた男性を訪ねた。  彼の勤務先や親族、友人…

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20時間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第16回

 タクシーに乗って錦糸町駅に移動した。  錦糸町事件の現場を見ておきたい、と思ったからだ…

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4日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第15回

「小学生のころ、私の父は病気で亡くなりました。それ以来、母が仕事に出ている間、私は近所に…

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7日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第14回

6  講堂に集まった捜査員たちは、みな緊張した表情を浮かべている。  まもなく午後八時、…

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11日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第6回

6  安川がパチンコ店に戻っていくのを見送ってから、尾崎は広瀬を見つめた。 「どういうつ…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第7回

7  午後八時から夜の捜査会議が開かれることになっている。  尾崎と広瀬は七時前に捜査本…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第8回

第二章 奪われた光 1  四月十六日、午前七時十五分。  身支度を整えたあと、尾崎は深川署の講堂に入っていった。  捜査本部にはすでに二十名ほどの刑事たちが集まっていた。捜査本部が設置されてから二日目の今日、やるべきことは山ほどある。それらを整理し、段取りを考え、いかに効率よく捜査を進めるか、みな真剣に計画を立てているのだ。  広瀬はまだ出てきていない。それを知って、なぜだか尾崎はほっとした。彼女を嫌っているわけではないが、どうも自分の中に苦手意識があるようだ。相棒

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第9回

 坂本高之の自宅は日本橋人形町にあるという。  木場から地下鉄東西線に乗り、茅場町へ。そ…

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4週間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第10回

 郷田裕治に関する捜査は一旦おいておくことにした。  今回の「三好事件」の被害者・手島恭…

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3週間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第11回

3  JR赤羽駅から徒歩約七分。住宅街の外れに目指す場所があった。 「あそこです。このへ…

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3週間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第5回

5  西葛西駅から電車に乗り、都心部へ向かう。  車内は思ったよりも混んでいた。ドアのそ…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第4回

4  勤務記録を受け取り、尾崎たちはクマダ運輸の支店を出た。  手島恭介という男はいった…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第3回

3  尾崎はグレーのスーツ、広瀬は紺色のスーツを着ている。  ふたりで並んで歩いていると…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第2回

2  自分の進路について、尾崎は母親とは何も相談してこなかった。  だから尾崎が大学二年のとき、将来は警察官になるつもりだと話すと、母親はひどく驚いたようだった。 「あんた、そんなことを考えていたの」母親はまばたきをしながら尋ねてきた。「やっぱり、うちの家計のせい?」  尾崎が大学一年のときに父が他界し、母はパートの仕事でだいぶ苦労をしていた。大学の学費は奨学金でまかなえたが、尾崎も積極的にアルバイトをして家計を助けていたのだった。 「それもある。でも、それだけじゃな