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季刊文芸誌「小説トリッパー」(3、6、9、12月発売)のweb版です。連載(小説やエッセイ)のほかに、朝日新聞出版発行の文芸ジャンルの単行本や文庫に関する書評やインタビュー、試し読みなども掲載していく予定です。本と出会えるサイトになればと思っています。

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  • 朝日新聞出版の文芸書

    • 251本

    書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。

  • 鶴谷香央理:連載コミック「傲慢と善良」(原作・辻村深月)

    【単行本第1巻、9月13日発売!!】 婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。彼女はなぜ姿を消したのか。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる――。 現代社会の生きづらさを恐るべき解像度で描き、多くの共感を呼んだ、2023年最大のベストセラー小説『傲慢と善良』を、名手・鶴谷香央理がコミカライズ!! 【毎月20日 11時更新予定】 小説公式サイトはこちら https://publications.asahi.com/feature/gouman/

  • ロイヤルホストで夜まで語りたい

    多々あるファミリーレストランの中でも、ここでしか食べられない一線を画したお料理と心地のよいサービスで、多くのファンを獲得しているロイヤルホスト。そんな特別な場での一人一人の記憶を味わえるエッセイ連載。毎週月曜日と金曜日に公開中!

  • 北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』

    平成を大法する大ベストセラー作家・佐伯泰英。その膨大な著作をすべて読破してレポート。読者をひきつけてやまない魅力を全力で伝えます!

  • ジェーン・スー 伊藤亜和:往復書簡 日々の音沙汰

    作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストのジェーン・スーさんと文筆家・モデルの伊藤亜和さんによる往復書簡。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を転載します。毎月第2火曜日に伊藤亜和さんのお便り、第4火曜日にジェーン・スーさんのお便りを公開予定です。

記事一覧

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第26回

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第25回

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第3回

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第24回

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第23回

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第2回

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第26回

「五年前、手島恭介が郷田裕治の命令を受けて、廃屋などを探していたことがわかっている。今回おまえは手島が見つけた建物の近くで、あらためて廃屋を探し、死体遺棄に使った。郷田が起こした誘拐事件への復讐だったからだな。自分だけのこだわりでもあっただろうし、あわよくば警察に過去の事件を思い出させようとしたのか」 「そうですね……。五年前の事件と結びつけられる刑事がいれば、たいしたものだと思いました。まあ結局、誰ひとり気づかなかったようですが」  悔しいが、彼の言うとおりだ。尾崎と広

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第25回

5  応援のメンバーや救急車が到着するまで、少し時間がかかるようだ。  加工室で坂本の様子を確認した。頭を殴られてかなり出血していたが、尾崎が介抱しているうち、彼は意識を取り戻した。 「坂本さん、私がわかりますか?」 「ああ……刑事さん。すみません、頭を殴られて……」  尾崎はハンカチを取り出して、坂本の額や顔の血を拭った。言葉もはっきりしているし、調べてみて、ほかに外傷はないのでほっとした。坂本は左脚が悪かったはずだ。救急車がやってくるまで、そのまま畳んだ段ボール

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第3回

第1峰『密命』其の弐 大筋、中筋、個別事件の3本柱で巻を重ねる  ここで佐伯作品の読みやすさについて考えてみたい。私は困ってしまったのだ。1冊読み終えるとすぐに次の巻を手にして読み始めてしまうのである。冗談のつもりで、「寝ても覚めても佐伯漬け」と言っていたのに、その通りになってしまった。佐伯本、予想以上に中毒性がある。    第3巻を読み終えたところで、どうやらそういうことかと気がついたので報告しよう。〝やめられない止まらない”の秘密は各巻の巧みな構成にあると思うのだ。

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第24回

4  この建物のどこかに負傷者がいる可能性があった。  いったいその人物の怪我はどれほどのものなのか。通路に落ちた血からは、傷の程度は想像できない。怪我をした部位によって重傷度も変わってくるだろう。もし頭部からの出血であれば、かなり深刻なものになっているかもしれない。  ──いや、もしかして負傷者はもう……。  嫌なことが頭に浮かんだ。尾崎は首を左右に振って、その考えを追い払う。  今はあれこれ想像していても仕方がない。それによって萎縮してしまい、的確な行動がとれな

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第23回

 広瀬はうなずきながらメモを見ている。彼女にも状況の整理ができたらしい。  メモの一部を指差しながら、尾崎は言った。 「②と③と⑤と⑥の写真は多いから、手島の目的はこれらを撮影することだったと考えられる。しかし現在、一連の事件現場となっているのは①と④と⑦だ。どうしてこうなったかという疑問が生じるわけだが……」 「事件で廃屋が使われた理由は、想像がつきますよね」藪内が言った。「死体遺棄をするには、廃屋のほうが便利だからでしょう」 「藪ちゃんの言うとおりだ」尾崎はうなず

北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第2回

第1峰『密命』   すべてはここから始まった! 崖っぷちから放たれた、衝撃の時代小説デビュー作    1999年1月、書店の文庫本コーナーに1冊の時代小説が姿を現した。『密命 見参! 寒月霞斬り』という勇ましい題名がつけられていたが、覚えのある読者はいなかった。なぜなら、雑誌掲載もされず、単行本として出版されることもない〝文庫書き下ろし作品”だったからである。    だが、売れた。大宣伝をされたわけでもないこの作品を、おもしろい時代小説が読みたいと書店へやってくる読者たちは見