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年森瑛「バッド入っても腹は減る」第7回
クロネコヤマトの配達通知が届いたので玄関脇のポストを確認しに行くと、開きっぱなしのフタから郵便物がいくつも飛び出ていた。無理矢理突っ込まれた分厚いゆうパックとメルカリの箱、スポーツジムのチラシ、それから奥で丸まっていた都知事選の広報誌を引っこ抜く。ゆうパックは担当さんからの献本だった。
というわけで、いただいた『私の身体を生きる』をさっそく読む。これは女性として生きる17名の書き手が自らの身体
北尾トロ『佐伯泰英山脈登頂記』第14回
第6峰『長崎絵師』『異風者』其の弐
すべてを出し尽くす第2巻は、勇気ある撤退の意思表明だったのか
第2巻『白虎の剣 長崎絵師通吏辰次郎』の発刊は、第1巻から4年後の2003年。改題した文庫版からも2年近く経って出た。第1巻の舞台となった江戸の出来事をあまり引きずらず、この本だけを読む読者にもわかりやすく書かれている。
動かさない部分と動かす部分も冒頭ではっきりさせた。動かさないのは、江
Whatでは英語を話すのか?(『パルプ・フィクション』)――川添愛「パンチラインの言語学」第8回
皆さんにとって、「これまでの人生で、見た回数が一番多い映画」は何だろうか? 私は『パルプ・フィクション』である。数えたことはないが、たぶん40回ぐらいは見ている。
初めて見たのは大学生のときだ。正直言って、一度目はあまり面白いと思えなかった。なんとなくクライム・サスペンスのつもりで見始めたが、ハラハラドキドキするような感じでもなく、登場人物たちはなんか本筋とは関係ないことをベラベラ喋ってるし、