もし日本が分断されていたら…架空の歴史が暴く現実の日本の社会問題/末國善己氏による貫井徳郎著『ひとつの祖国』書評を公開
架空の歴史が暴く現実の日本の社会問題 架空の島を舞台に、明治初期から平成末までの近現代史を17の物語で追った全3冊の大作『邯鄲の島遥かなり』を刊行した貫井徳郎の新作は、第二次世界大戦後に東西に分割された日本という架空の歴史を描いている。実現はしなかったが連合国は日本の分割統治を検討していたので、本書はあり得たかもしれないもう一つの歴史を題材に、現実の日本が直面している諸問題に切り込んでいる。 先の大戦末期、北海道を制圧したソ連軍が本州に侵攻した結果、西日本に民主主義国
この小説は、みんなへの声援/せやま南天著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』創作大賞2023(note主催)受賞の秋谷りんこさんによる書評を公開!
この小説は、みんなへの声援 私は、家事が苦手だ。子供の頃からおっとりしており、身の回りのことをするのが得意ではなかった。大人になっても変わらず、掃除も片付けも人並みにはできない。料理はするが、上手ではない。レトルト調味料や冷凍食品に助けられ、何を出しても「美味しい」と言ってくれる夫に救われているだけだ。洗濯は嫌いではないけれど、得意でもない。先日、仕事から帰ってきた夫が、部屋干ししてあるシャツの袖を黙って引っ張り出していた。片袖だけ裏返ったままで干していたことに、私は一日
貫井徳郎『ひとつの祖国』
2024年5月7日発売の貫井徳郎さん『ひとつの祖国』に関する記事をまとめています。 彫刻 金巻芳俊「相対アンビバレンツ」 @FUMA Contemporary Tokyo|文京アート
もし日本が分断されていたら…架空の歴史が暴く現実の日本の社会問題/末國善己氏による貫井徳郎著『ひとつの祖国』書評を公開
架空の歴史が暴く現実の日本の社会問題 架空の島を舞台に、明治初期から平成末までの近現代史を17の物語で追った全3冊の大作『邯鄲の島遥かなり』を刊行した貫井徳郎の新作は、第二次世界大戦後に東西に分割された日本という架空の歴史を描いている。実現はしなかったが連合国は日本の分割統治を検討していたので、本書はあり得たかもしれないもう一つの歴史を題材に、現実の日本が直面している諸問題に切り込んでいる。 先の大戦末期、北海道を制圧したソ連軍が本州に侵攻した結果、西日本に民主主義国
上坂あゆ美:連載エッセイ、短歌「人には人の呪いと言葉」
喉につかえてしまった魚の小骨のように、あるいは撤去できていない不発弾のように、自分の中でのみ込みきれていない思い出や気持ちなどありませんか。あなたの「人生の呪い」に、歌人・上坂あゆ美が短歌と、エッセイでこたえます。
李琴峰:連載エッセイ「日本語からの祝福、日本語への祝福」
台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。