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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』

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都内で連続猟奇殺人事件発生! 警察小説の旗手・麻見和史さんによる、新シリーズ始動。
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記事一覧

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第19回

4  臨時の会議を終えて、刑事たちは再び捜査活動を開始した。  尾崎と広瀬は木場駅に向か…

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2日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第18回

 そう思ったとき、尾崎ははっとした。真ん中のテーブルに鎖が置いてあったのだ。  過去二件…

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6日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第17回

2  捜査資料を参照して、尾崎たちは郷田を撥ねた男性を訪ねた。  彼の勤務先や親族、友人…

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9日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第16回

 タクシーに乗って錦糸町駅に移動した。  錦糸町事件の現場を見ておきたい、と思ったからだ…

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13日前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第15回

「小学生のころ、私の父は病気で亡くなりました。それ以来、母が仕事に出ている間、私は近所に…

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2週間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第14回

6  講堂に集まった捜査員たちは、みな緊張した表情を浮かべている。  まもなく午後八時、…

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2週間前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第6回

6  安川がパチンコ店に戻っていくのを見送ってから、尾崎は広瀬を見つめた。 「どういうつもりだ。さっきのは明らかにやりすぎだぞ」  責める調子で尾崎が言うと、彼女は不思議そうな顔をした。 「そうでしょうか? 私は捜査上の秘密を明かしたりしていませんし、問題はなかったと思っていますが」 「昨日今日入った新米じゃないんだから、君にもわかるはずだ。助けを求めた人間を警察が守れないなんて、そんな話をするのはまずいだろう」 「具体的に考えれば誰でもわかるはずです。でも実際には

麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第7回

7  午後八時から夜の捜査会議が開かれることになっている。  尾崎と広瀬は七時前に捜査本…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第8回

第二章 奪われた光 1  四月十六日、午前七時十五分。  身支度を整えたあと、尾崎は深川…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第9回

 坂本高之の自宅は日本橋人形町にあるという。  木場から地下鉄東西線に乗り、茅場町へ。そ…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第10回

 郷田裕治に関する捜査は一旦おいておくことにした。  今回の「三好事件」の被害者・手島恭…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第11回

3  JR赤羽駅から徒歩約七分。住宅街の外れに目指す場所があった。 「あそこです。このへ…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第5回

5  西葛西駅から電車に乗り、都心部へ向かう。  車内は思ったよりも混んでいた。ドアのそ…

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1か月前
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麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』第4回

4  勤務記録を受け取り、尾崎たちはクマダ運輸の支店を出た。  手島恭介という男はいったいどんな人物だったのだろう。尾崎は被害者の姿を頭に思い浮かべた。  事件現場で確認した顔。そして初動捜査で仲間の刑事が入手した写真の顔。手島は面長で、大きな耳に特徴があった。福耳と言えそうだが、現実には福に恵まれなかったようだ。彼は拷問とも言える仕打ちを受けて死亡してしまった。  髪型や服装からは、どこにでもいる中年男性というふうに見えた。個人事業主ということだったが、仕事の中身はフ