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最適解じゃないほうの――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第24回
第24回 最適解じゃないほうの
移民というのは乾坤一擲のような重大な決断に思える。しかし当然ながら、全ての決断にはそこに至るまでの脈絡がある。
交換留学が終わってから一年半後、私は再び日本に上陸した。今度は一時的な滞在ではなく、移民しようというしっかりとした決意を伴って。
取っかかりは大学院である。交換留学していた一年の間、私は日本の大学院に進学する決意を固めた。まずは修士号を取
音を科学する魔法(後編)――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第22回
第22回 音を科学する魔法(後編)
前回、音声学と音韻学は言語学の中でも敬遠されがちな分野だと述べたが、所詮現代的な学問であり、使われている道具セット(国際音声字母など)もかなり現代的なものだ。それと比べ、中国の伝統的な言語学の一分野である「声韻学」のほうが遥かに抽象的で、難解である。声韻学を必修科目とする中文科で、学生たちはよく真っ赤に充血した目を見開いて黄ばんだ教科書と睨めっこしながら、呪
音を科学する魔法(前編)――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第21回
第21回 音を科学する魔法(前編)
伝統的な中国文学科というのはただ文学をやっていればいいというわけではない。修めなければならない学問分野は大きく分けて三つある。文学、哲学、そして言語学である。
そもそも「文学」という言葉は本来、西洋で言うliteratureを指しているわけではない。『論語』には「四科十哲」とあり、「四科」とは「徳行、言語、政事、文学」という四つの科目のことだが、ここの「
修業時代の洗礼――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第20回
第20回 修業時代の洗礼
私の留学先は別科日本語専修課程というところだった。
文学部や法学部といった一般的に知られる学部・学科とは違い、別科は日本語や日本文化、日本事情の講義を開講する、もっぱら留学生を対象にした教育プログラムである。正規の教育課程であることに変わりはないが、ほとんどの日本人学生はその存在すら知らないので、「李さんは何学部ですか?」と訊かれたら、説明はかなり面倒だった。こう
指数関数的成長期――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第16回
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李琴峰さんの朝日新聞出版の本
【好評3刷】生を祝う
アイスブルーの蛙――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第14回
第14回 アイスブルーの蛙
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李琴峰さんの朝日新聞出版の本
【好評3刷】生を祝う
漢文という裏技――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第12回
第12回 漢文という裏技
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李琴峰さんの朝日新聞出版の本
【好評3刷】生を祝う
手の焼ける生徒なのだ――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第11回
第11回 手の焼ける生徒なのだ
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李琴峰さんの朝日新聞出版の本
【好評3刷】生を祝う