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鈴峯紅也さんの人気シリーズ「警視庁監察官Q」の主人公・小田垣観月の学生時代を描いたスピンオフシリーズです。11月24日より、毎週木曜日に最新回を掲載予定です。
書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。
台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。
「貧困ジャーナリズム賞2022」受賞、「第45回講談社本田靖春ノンフィクション賞」「2022年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」ノミネート。2022年4月20日発売、永田豊隆さん『妻はサバイバー』に関する記事をまとめています。
弊社も「エッセイ」「ミステリ小説」「恋愛小説」「お仕事小説」部門の選考に携わります、創作大賞2023に参加される方の参考になりそうな記事を集めています。
二十五 火曜日の出勤は裕樹に約束したがそれだけで、木曜から月曜は店に出なかった。 ――…
二十四 この翌日の木曜日は、一か月に一度の東大病院の日だった。 検査やら何やらで早く…
二十三 週明けの月曜日は、一日中はっきりとしない生憎の天気だった。 薄陽の時間はあっ…
第12回 漢文という裏技 日本の中高生も中国の古典を習うのを知った時は驚いた。 そ…
2023年5月25日 17:00
二十五 火曜日の出勤は裕樹に約束したがそれだけで、木曜から月曜は店に出なかった。――多分ね。バイトは昨日で終わり、かな。 と、東大病院での検査の日に、〈四海舗〉で松子に言った言葉は嘘ではない。 十六日の火曜日は、四営業日振りの〈蝶天〉だった。 なんとなく懐かしくもあり、どことなく〈馴染んだ職場〉の匂いもした。 この夜は午後七時前の定時に入り、しっかりとミーティングから出た。
2023年5月18日 17:00
二十四 この翌日の木曜日は、一か月に一度の東大病院の日だった。 検査やら何やらで早くて一時間半、長ければ二時間を優に超すのがいつもの流れだ。毎月十日前後の、百合川女医の都合に合わせて通うことになっていた。 予約はこの日の、午前十一時だった。 時間から言って、昼を跨ぐのは目に見えていた。 それでまず、朝イチで〈四海舗〉に顔を出した。 ドミトリーで竹子の朝食を摂り、〈四海舗〉で
2023年5月11日 17:00
二十三 週明けの月曜日は、一日中はっきりとしない生憎の天気だった。 薄陽の時間はあっても肌寒く、もう十一月であることを体感する。 観月はこの日、久し振りに自分なりの定時で〈蝶天〉に出勤した。 前週は同伴づいて、資生堂パーラーから営業中の〈蝶天〉に入った。ミーティングから出て京風スイーツを味わうのは、随分久し振りな気がした。 この日のスイーツは、抹茶を練り込んだ生地の豆大福だった
2023年5月1日 10:00
第12回 漢文という裏技 日本の中高生も中国の古典を習うのを知った時は驚いた。 それもそのはず――だって、台湾の中高生は日本の古典を習わないもの。『古事記』『万葉集』『源氏物語』などは台湾の国語の授業には登場しない。もちろん、『ソクラテスの弁明』も『神曲』も『マクベス』もだ。 例えば台湾の高校の授業で『古今和歌集』や『オデュッセイア』を扱うとする。当然ながら、大抵の高校生は日本語