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カバーデザインが完成しました!【クリキャベ編集日記-番外編-】

創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』の著者せやま南天さんと担当編集者Kの編集日記です。
★今回は、「装幀を一緒に考えませんか?」に続く番外編。
カバーデザインが完成しました! 発表します!!!
みなさんからご意見をいただいたデザインはどう完成したのか? デザイナーさんと編集者Kのやり取りも……。

ご意見をありがとうございました!
#クリキャベカバーどうする


クリキャベのカバーのデザイン案に対し、
たくさんのご意見をいただき本当にありがとうございました!!!


「カバーについて、たくさんご意見きていますね!
心配は杞憂におわったようで、ほっとしました」

せやまさんからのメール

noteだけでなく、Xでも、
「#クリキャベカバーどうする?」のタグでみなさんにご意見をもらいましょう、とせやまさんにご提案したとき、
みなさんにご意見をいただけるかが心配で、別の方法がないかと話し合いもしましたが……

我々の心配をよそに、
多くのご意見をいただけたこと、
大変嬉しく、そしてありがたく思っています。

(せやまさんからも、上のようなメールをもらい、私Kもほっとしました……!)

みなさんのご意見を基に……、カバーが完成しました!!!!!

完成したカバー

みなさんからご意見をいただき、
さらにパワーアップした、デザインになったと思います!!!


新人編集者である私は、デザイナーさんとのお仕事も経験不足。
それでも、妥協はしたくない! 

【クリキャベ編集日記-その5- 編集者K・カバー編】より

カバーデザインを進めて行くと、
さまざまな壁にぶち当たりました……。

上手くできなくて、悔しくて、でも絶対にいいものにしたい!
そんな気持ちでいた私と、最後まで、こだわり抜いてくれたデザイナーのbookwall 松昭教さん (Xアカウント : @bookwall@mastu_matsu) とのやり取りを、書いていきたいと思います!

最初にもらった客観的な感想
 ―デザイナー松さんと最初の打ち合わせで―


むかえた最初の打ち合わせ。この打ち合わせには、先輩編集者のYさんにも同席していただきました。

【クリキャベ編集日記-その5- 編集者K・カバー編】より

松さんに依頼をお引き受けいただいたのは、
この最初の打ち合わせのたった1週間ほど前。

松さんは、打ち合わせの日程を決めることと同時に、
当たり前のことかのように「ゲラか原稿を送ってください
とお声がけくださいました。
(他の仕事も色々あるだろう中、打ち合わせまで1週間の短い間で原稿を読んでいただけるというのは、すごいことです……。)

デザイナーさんによって、
先に原稿を読む方、原稿を読まずに編集者からあらすじを聞いて進める方……それぞれのやり方があると先輩から聞きました。

きっと、どのやり方が一番よいという訳ではないですが、
新人編集者である私にとって、作品の原稿を読んだうえで打ち合わせに臨んでくださることは、安心感を持てる進め方でした。

打ち合わせ当日。まず、松さんに聞きたかったのが、作品の感想。
原稿を読んでいただいているので、やはり気になりました。

この小説を読んでどういったことを感じたのか、
そこからどういうデザインがいいと考えているのか……。
こういった意見をいただけると思っていました。
そんな中で、いただいた感想が以下もの。

原稿を読んでくださっていた、
ベテランデザイナーの松さんに感想を聞いてみると、
「とても読ませるお話と書き方でスラスラ読めた」というお話とともにこんな意見がでました。

「お料理のシーンがこの作品の特徴的な部分だと思うから、
そのシーンで、もう少し、津麦の感情が出てもいいかもしれない。津麦から、織野家のそれぞれへの想いを描く感じで。」

【クリキャベ編集日記-その3- 編集者K・改稿編】より

この感想に、私は少し驚きました。
デザインのための、デザインに直結する感想をいただけると思っていたからです。

一方、いただいた感想は作品の中心となるお料理のシーンに対するもの。

そのお料理のシーンは、創作大賞2023受賞後の改稿で、せやまさんに既に手を入れていただいていましたが、さらに作品が磨かれる要素があったのです。そこを松さんがビシッと見抜いてくれました。

改稿中のクリキャベを読んでいたのは、
著者のせやまさんと先輩Yさんと、私の3人だけ。
この時、松さんに客観的な意見をいただけたことは本当にありがたかったです。

デザイナーさんは、客観的に作品を読む最初の読者です。
松さんがデザイナーとしてだけでなく、最初の読者としていかに頼れる人であるかを実感しました。

デザイナーさんの言葉


デザインを進めて行く中で、途中、行き詰った時がありました。
最初のラフが出来上がり、著者のせやまさんに、イラストを含めた方向性をご確認いただいた時です。

最初のデザインラフ

せやまさんからご意見をいただきましたが……
私は、その意見をそのまま、松さんに投げてしまいました。
そんなやり取りを見ていた先輩Yさんからこんな電話がかかってきます。

Kさん、伝達しているだけの人になってしまっているよ!
せやまさんの意見をそのまま松さんへ伝えるのではなくて、しっかり編集部の意見としてまとめないと!!

Yさんからの電話の内容


そう、私は、著者とデザイナーとイラストレーターの意見を伝言するだけの人になってしまっていました。

せやまさんの意見はもちろんしっかりと聞く。
聞くけれど、その意見の背景にある「考え」を汲み取り、
著者の意見を丸投げするのではなく、編集部としてはどういう意見なのかをしっかり伝えなければならない。

Yさんの言うことがよく理解できるだけに、とても悔しかったです。


その時、以前、松さんがかけてくれたある言葉を思い出しました。

いつも思いますが、これでいっか! というよりは、これで良いのだ!
なら、納得して仕事ができると思います 。

そのあとは考えた末なのですから、自信をもって作ることです。

売れるか売れないかははっきり言って、誰にもわかりませんが、
ああすればよかった!ということが、できるだけないようにしていれば、
もしも結果が悪くても、次こうすれば良いんだと考えることができるでしょうし、良い結果なら、これでよかったと思えるので、考えることが重要だな〜〜って。

松さんのことば

(ああ私、考えられていなかったんだな)

Yさんからの電話を受けて、過去に松さんからかけてもらった言葉がとても納得感のあるものになりました。

デザイナーを長年していると、色んな編集者を見てきているはずです。
そんなデザイナーさんからの言葉は、
特に私のような新人の編集者にとって大切で、
しっかりと受け止めなければいけない、と思いました。

みなさんにご意見をいただいたあと……


みなさんにご意見をいただいて……

「タイトルとイラストが被らず、余白があると見やすい」
「タイトルは、斜めだと目立つけれど、
まっすぐの方が、まっすぐな優しさのある作品の雰囲気に合っている」
「著者名も、箱の中にがあった方が目立ってよい」     などなど……

みなさんのご意見

せやまさんの意見も総合して、D案をベースに進めて行くことになりました。

カバーデザイン案

完成に向けて、大きく2つ修正した点があります。

  1. ピカタのお皿の色と位置を変更
    イラストのほぼ中央にあるピカタが、タイトルの邪魔をしているのではないかという話になりました。
    みなさんの意見の中でも、「お料理がタイトルと被らない方がみやすい」という意見がいくつかあり、せやまさんの考えも踏まえて、位置を変えることにしています。

  2. タイトルにイラストを追加
    これは松さんからのご提案です! どうしてこのようにイラストを入れたかというと……次のようにおっしゃってました!

少しシンプルになりすぎるかもしれなかったので、
再度、華やかさをどのようにだそうか考えていたんですが、
しっかりとしたこのタイプは、
イラストがあったほうが華やかさがでるかもと〜〜!

全体ここまでいくと、目立つ本になるかと思います〜。

松さんからのメール

なるほど、目立つということも大切な要素だと思い……この2つの方向で最終調整ののち、完成いたしました!

完成したカバー


「ブックデザイナー」という職業の方とのお仕事ははじめてでしたが、

「作品を多くの人に届けるため」に力を尽くしてくれる、
本造りには欠かせない職業
なんだと思いました!
(松さん、ありがとうございました!!)

*****

次回は、その6。せやま南天さんによる編集日記の「カバー編」です!

編集日記は、
その6は「カバー編」、その7、その8は「校正編」と続きます。
引き続きよろしくお願いいたします!


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書籍編集部K


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