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李琴峰:連載エッセイ「日本語からの祝福、日本語への祝福」

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台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんによる日本語への思いを綴ったエッセイです。朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」で連載中の内容を1カ月遅れで転載します。毎月1日に最新回を公開予定です。
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2024年2月の記事一覧

音を科学する魔法(前編)――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第21回

音を科学する魔法(前編)――李琴峰「日本語からの祝福、日本語への祝福」第21回

第21回 音を科学する魔法(前編)

 伝統的な中国文学科というのはただ文学をやっていればいいというわけではない。修めなければならない学問分野は大きく分けて三つある。文学、哲学、そして言語学である。

 そもそも「文学」という言葉は本来、西洋で言うliteratureを指しているわけではない。『論語』には「四科十哲」とあり、「四科」とは「徳行、言語、政事、文学」という四つの科目のことだが、ここの「

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