ロイヤルホストで夜まで語りたい・第17回「ロイヤルホストと勤務医時代」(朝比奈秋)
ロイヤルホストと勤務医時代
朝比奈秋
郊外の、国道沿いにあるロイヤルホストだった。地方ともなると夜の12時を越えれば、国道を走る車はめっきり減って、周りの建物からの灯りも消えだす。そのせいか、オレンジ色の看板が遠くからでもぼんやりと浮き上がって見えた。暗い道の先に、そこだけ人の気配が灯ったようだった。そこに向かって私は急ぐともなく、ただぼんやりとマイペースに歩いていたと思う。
10年ほど前、そのロイヤルホストは深夜営業をしていて、私は深夜帯に通う常連客の一人だった。平日の深夜に客は少なく、店内は静かだった。私はいつも一人で来て、がらんとした窓側のファミリー席に座って、広々としたテーブルに目いっぱいメニューを広げた。窓からは空っぽの駐車場が見えた。その奥の4車線ある国道をなんとなしに眺めていると、深夜の国道をさーっと音を立てて、車がときどき通った。
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