ロイヤルホストで夜まで語りたい・第6回「サザエさんはパーを出してる来週が来ない人にも来るわたしにも」(上坂あゆ美)
サザエさんはパーを出してる来週が来ない人にも来るわたしにも
上坂あゆ美
高校1年の春が来るのを、私はずっと待っていた。
中3の冬に親が離婚した。名字が変わって、駅前の立派なビルからボロい団地へ引っ越した。母は離婚の手続きに引っ越し、新しい仕事、姉の退学手続きや私の入学手続き、私たちの日々の世話でとても忙しそうだ。
母には申し訳ないけど、私は離婚とか、引っ越しとか、学校とか、それらのことは全てどうでもいいと思っていた。高校生になったから、やっとアルバイトができるのだ。自分で自分のお金が稼げるようになる。誰にも文句を言われずに欲しいものが買えるだろうし、お金を貯めれば東京に行くことだってできるだろう。家族や学校とうまく馴染むことができず、地元が嫌で嫌でたまらなかったあの頃の私は、いつか東京に行くことだけが生きがいだった。だからアルバイトを始めることは、自由を手にいれるための最初の一歩のように思えた。
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