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中山七里「特殊清掃人」

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中山七里さんによる連載小説です。毎週金曜日に最新話を公開する予定です。
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記事一覧

同族が生物から静物へと変わる時の臭い。絶望と無情を嘔吐感とともに思い出させる臭い…

第1回から読む  川島は音楽センスに秀でていたこともあり、バンドのリーダーを任じていた。…

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1日前

心身とはよく言ったもので、肉体の疲労は精神の疲弊を呼び起こす――中山七里「特殊清…

第1回から読む 三 絶望と希望       1  腐敗液と清掃に使用した捕虫網やタオル類…

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8日前

親は子どもを産むかどうかを選択できるが、子どもの方は親を選べない。――中山七里「…

 第1回から読む  ダイニングの隣にある脱衣所から顔を出したのは飯窪麻里子だった。 「長…

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2週間前

伊根さんの生き方を否定できる人間は誰もいません――中山七里「特殊清掃人」第16回

 第1回から読む       4  数日後、五百旗頭は伊根の部屋に形見分けを希望する三人…

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3週間前

伊根が酒と女の暮らしを好んだ理由が分かる気がした――中山七里「特殊清掃人」第15…

 第1回から読む 「そのスマホ、中身を検めた後でどうした」 「マンションのオーナーが持っ…

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4週間前

そうした事情があったとしても伊根欣二郎が事故死であった事実に揺るぎはありませんよ…

 第1回から読む  三人目の女性はひどく消沈した面持ちで応接室に入ってきた。 「営業課の…

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1か月前

「死んだ上司の悪口を言いたくはないんですけど、わたしセクハラを受けていたんです」――中山七里「特殊清掃人」第13回

第1回から読む  次に現れたのは二十代後半と思しき肉感的な女性だった。 「はじめまして。広報課の石田未莉です」    智美とは打って変わって、こちらは挨拶から食いつき気味だった。 「伊根社長の部屋をお掃除してくださったんですってね。本当にありがとうございました」 「呼ばれた理由は承知されてますよね」 「社長と個人的に深い付き合いだった人間に、形見分けの資格があるかどうかの確認ですよね。最初にはっきりさせておきますけど、わたしは積極的に手を挙げます」  見事なまでの

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愛憎とカネ勘定は別だ――中山七里「特殊清掃人」第12回

 第1回から読む  事務所に帰着した五百旗頭は照子宛ての請求書を作成し終えると、諏訪に電…

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1か月前

「人間って、死んだらこんな風に部品になっちゃうんですね」――中山七里「特殊清掃人…

 第1回から読む  間取りは3LDK、独身男の住まいとしては贅沢な部類に入る。調度品はど…

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1か月前

「人には看取られず機械に看取られる死か。あまりぞっとしない話だな」――中山七里「…

 第1回から読む    諏訪は元々のキツネ目を更に細くして抗議する。 「まあ、署では事故死…

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2か月前

「おカネは命の次に大切だって人もいるくらいだしね。ないよりはあった方がいい。少な…

 第1回から読む    二  腐蝕と還元     1 「誰が何と言っても一割ですよ。折角立…

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2か月前

「やっぱり、その服が気になるんですね」――中山七里「特殊清掃人」第8回

 第1回から読む    大田は束の間逡巡した様子だったが、やがて渋々といった体で口を開いた…

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2か月前

「遺品整理は遺族のためでもあり、同時に亡くなられた方のためでもあります」――中山…

 第1回から読む    香澄は持ち出した床材の一片を陽光の下に晒してみる。コーティングに阻…

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2か月前

「気持ちを汲むまではいいさ。だけど余分に肩入れするのはいただけねえ。下手すると死人に魂を持っていかれるぞ」――中山七里「特殊清掃人」第6回

秋廣香澄は半年前に〈エンドクリーナー〉に転職したばかり。同世代の女性・関口麻里奈が孤独死した部屋の清掃依頼があり、上司の五百旗頭とともに部屋の清掃を始めるが……。  第1回から読む    死者について妄想するのが詮無いことは重々承知しているが、麻梨奈が自分と同年代であるために他人事だとは思えない。加えて彼女が生活し死んでいった場所で清掃作業をしていると、残留思念が 頭の中に侵入してくるような錯覚に陥る瞬間がある。 「秋廣ちゃんは優しいよな」 「わたしは別に」 「部屋

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