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朝日新聞出版の文芸書

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書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。
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#小川哲

「敗者の視点で描かれた残酷な事実の先にある“勝利”」書評家・渡辺祐真さんによる、小川哲『君のクイズ』評論を特別公開!

遊びとはなにか? ~ゲームとプレイ~  遊びとは何だろうか。  周りを見渡せば、子どものごっこ遊びから、スポーツやスマホゲーム、そしてクイズに至るまで、数えきれないほどの遊びやゲームに我々は囲まれている。有名な哲学者の言葉を持ち出すまでもなく、人間は遊ぶ生き物と言っていい。  文化人類学者のデヴィッド・グレーバーは、「ゲームとは純粋に規則に支配された行為」だと述べた。[注1]遊びやゲームには厳格なルールが定められている。将棋なら駒の動かし方や勝敗の決め方、スポーツなら使って

【2023年本屋大賞ノミネート】小川哲『君のクイズ』を取り上げてくださったメディア&著名人を一覧で紹介!

 直木賞受賞でもいま大注目の作家・小川哲さんの最新小説『君のクイズ』が2023年本屋大賞ノミネート作に選ばれました! 本作は、2022年6月、小説トリッパーに掲載されたのち、10月7日に書籍として刊行。発売後、SNSを中心に瞬く間に話題となり、この3カ月で多様なメディアで幅広く取り上げていただきました。取り上げられ方も様々で、広義のエンタメとして、狭義のミステリとして、より広い文学として……などなど、ジャンルを越え、業界を越え、話題にしていただきました。  そこで、取り上げ

正解の裏にはクイズプレイヤーの人生が…「ゼロ文字押し」解答の謎を追う、小川哲さんによる驚異と異色のなぞ解き小説『君のクイズ』/斎藤美奈子さんの書評を特別公開

■クイズが私の人生を肯定してくれたんです  クイズ番組で超難問に次々答える解答者。問題文の最初の数語で答えを予測し、早押しのスピードを競う姿は、百人一首を用いた競技かるたを思わせる。ほとんどスポーツである。  小川哲『君のクイズ』はそんなクイズ王の世界をモチーフにした異色の謎解き小説だ。  語り手の「僕」こと三島玲央は25歳。中学のクイズ研究部に入ったときから十数年、研鑽を積んできた。今日はクイズ界の頂上戦というべき『Q−1グランプリ』当日だ。決勝に残ったのは玲央と、驚

書店員さんから続々感想が!小川哲『君のクイズ』ついに発売

■『君のクイズ』書店員さん感想集 クイズ番組を見るのが好きだ。クイズは知っている、知らない世界で、そしてそれは時とともに正解が更新されていく。クイズは客観的な外側の世界だと思っていた。この作品を読んでむしろ人生を含む内側の世界じゃないのかと思えた。クイズを見る目が180度変わった。驚くべきミステリーの謎の真実となるほどと、心から感心させられる解釈。こんなことが存在するなんて。 やられた!面白すぎる。 (ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん) 『君のクイズ』、とても面白く

まるで「クイズ」を体験するような新しい小説の誕生! 小川哲『君のクイズ』刊行記念エッセイを特別公開

僕のクイズ作家・小川哲(Ogawa Satoshi)  人生において、僕たちはさまざまなクイズと出会う。面接官に「志望動機は?」と聞かれ、準備していた答えを口にする。食卓に置かれたカレーの「隠し味は何だと思う?」と質問され、もう一度じっくり味わってみる。自宅で、職場で、学校で、僕たちはよくクイズを出題される。  クイズプレイヤーたちは、クイズが好きで得意な人たちだ。彼らが得意としているのは「競技クイズ」という種目で、広義のクイズとは多少異なっている。「競技クイズ」で出題され

伊坂幸太郎、佐久間宣行、新川帆立、山上大喜…小川哲『君のクイズ』に推薦の声、続々! 『ゲームの王国』『地図と拳』の鬼才が次に放つ、一気読み必至の超エンターテインメント小説

『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』……。一作ごとに評価を高める大注目の作家・小川哲氏が、今度はなんと「競技クイズ」を題材に、極めてユニークな、なのにド直球のエンターテインメント『君のクイズ』を書き上げました。発売前から書籍紹介YouTube、文芸時評、SNSなどで数多く取り上げられ、話題沸騰中の一冊です!  本作を読了して面白い!と評価してくださったみなさまから推薦コメントをお寄せいただきました。みなさまの熱いコメントをぜひお読みください(コメント掲載は順不同です)。

高山羽根子著・単行本『オブジェクタム』小川哲氏による書評「文学の美しさと儚さ」を特別掲載!

 高山さんがトリッパーで新作を書いたらしいと聞き、手にとってみると「オブジェクタム」というラテン語風の仰々しいタイトルだった。聞いたことのあるような、ないような不思議な言葉だったが、高山さんは美大を出てるから、オブジェとか出てくるのかな、といい加減な気分で読み始めた。そしたら本当にオブジェ的なものが出てきて驚いた。 《オブジェ》とはなんだろうか。もともとは「物体」や「客体」を表すフランス語だったが、シュルレアリスム以降は「非芸術的な物体を利用して制作された美術作品」という意

※終了※【話題沸騰!】小川哲「君のクイズ」が単行本で10/7発売決定!試し読みを緊急公開

※試し読みは終了しました※  小川哲さんの小説「君のクイズ」が異例の反響です。「小説トリッパー」2022年夏季号に一挙掲載後、SNSを中心に各方面から熱い感想が届いています。クイズプレーヤーを主人公にした本作は、小説好きの方だけでなくクイズ好きの方にも興味をもって読んでいただけているようです。そんな話題沸騰の本作ですが、10月7日に書籍として刊行することが決定しました。単行本発売の情報解禁記念として、作品の約1/4を、12日間限定で一部先行公開いたします。一段落目からすでに面

夏号は創作2本が充実!さらに長期連載4本が堂々完結<「小説TRIPPER」2022年夏季号ラインナップ紹介>

◆創作小川哲 「君のクイズ」 『Q-1グランプリ』決勝戦。競技クイズプレイヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄の不可解な勝利に不正工作の疑念を抱く。真相を知るべく、彼について調べ試合を1問ずつ振り返る三島はやがて――。今夏大注目の鬼才による、クイズに材を取った新作274枚を一挙掲載します! 櫻木みわ 「カサンドラのティータイム」  スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。孤独に自分を責め苦しみながら夜を過ごしている、誰かと誰か。現代社