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朝日新聞出版の文芸書

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書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。
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#ほんの記事

「おねしょする5歳」に「あばれる小6」子どもたちのリアルな苦しみ描く、ふたりの新人作家が生み出す“新時代”の空気

 子どもはいきいきしていて明るいだけではない。ときにストレスで「気持ちとからだが別」になってしまうこともある。  今年デビュー作を上梓したふたりの新人作家が、そんな子どもたちの姿をリアルに書き上げた。  ひとりは潮井エムコさん。初めて書いた高校時代の思い出についてのエッセイをnoteにアップしたところ、SNSで拡散され、累計30万を超える「いいね」を獲得。2024年1月に初のエッセイ集、『置かれた場所であばれたい』(以下、『置かあば』)を刊行した。  そしてもうひとり。

「誰にも奪えない」「自分にしか書けない」自分だけの言葉を大切にした新人作家ふたりの眼差し

「心がふっと軽くなった」「共感しかない」「清々しい気持ちになった」といった感想がSNSやnoteに寄せられたふたつの作品。  2024年1月に初のエッセイ集『置かれた場所であばれたい』(以下、『置かあば』)を刊行した潮井エムコさんは、書くことが苦手だったという。  4月にデビュー小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(以下、『クリキャベ』)を刊行したせやま南天さんが、初めて書く中編小説のテーマに選んだのは、家事だった。  そんなふたりが、書くことに込めた思いや

「自分を癒やす」「人生のちょっとしたおもしろさを楽しむ」ふたりの新人作家が読者に届けるエール

「読者の圧倒的支持を得る」。どこかで耳にしたことがある言葉だと思う方も多いだろう。しかし、実際にはそんなに当たり前のことでも、簡単なことでもない。  今年相次いでデビュー作を上梓したふたりの新人作家、潮井エムコさんとせやま南天さん。  潮井さんはエッセイストとして、せやまさんは小説家としてデビューした。ふたりの作品は多くの読者に支持され、ネット上には共感の声や応援する声が届けられている。  まずはふたりのデビュー作について紹介したい。 新人作家ふたりが、お互いや読者か

「この物語を必要としていた」「心底励まされた」感動の声続々!櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』への書店員さんの感想を一挙公開

「小説トリッパー」2022年夏号に一挙掲載した直後より、この物語を必要としていた、読み終わって心底励まされたとの声が広がる櫻木みわさんの『カサンドラのティータイム』。2022年11月7日(月)の発売にあわせて期間限定で全文公開をいたします。それに先立ち発売前より続々と届いている全国の書店員のみなさまからの感想を紹介させていただきす。 期間限定全文公開はこちらから 他人からはわかりにくく、本人も気づきにくい暴力=モラハラを、小説という形で読むことで、追体験をした気になりまし

書店員さんから続々感想が!小川哲『君のクイズ』ついに発売

■『君のクイズ』書店員さん感想集 クイズ番組を見るのが好きだ。クイズは知っている、知らない世界で、そしてそれは時とともに正解が更新されていく。クイズは客観的な外側の世界だと思っていた。この作品を読んでむしろ人生を含む内側の世界じゃないのかと思えた。クイズを見る目が180度変わった。驚くべきミステリーの謎の真実となるほどと、心から感心させられる解釈。こんなことが存在するなんて。 やられた!面白すぎる。 (ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん) 『君のクイズ』、とても面白く

伊坂幸太郎、佐久間宣行、新川帆立、山上大喜…小川哲『君のクイズ』に推薦の声、続々! 『ゲームの王国』『地図と拳』の鬼才が次に放つ、一気読み必至の超エンターテインメント小説

『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』……。一作ごとに評価を高める大注目の作家・小川哲氏が、今度はなんと「競技クイズ」を題材に、極めてユニークな、なのにド直球のエンターテインメント『君のクイズ』を書き上げました。発売前から書籍紹介YouTube、文芸時評、SNSなどで数多く取り上げられ、話題沸騰中の一冊です!  本作を読了して面白い!と評価してくださったみなさまから推薦コメントをお寄せいただきました。みなさまの熱いコメントをぜひお読みください(コメント掲載は順不同です)。

※終了※【特別公開】夢枕獏氏「キマイラ」完結へ! 40年続く人気シリーズが1年半の休載を経てついに再開/「聖獣変 第1話」を期間限定公開

※特別公開は終了しました。たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございました。 ※特別公開は終了しました。たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございました。引き続き「一冊の本」での連載をお楽しみください。

「これは私たちの物語だ」 親に棄てられJKビジネスに引きずり込まれていく女子高生たち…桐野夏生さんが『路上のX』で描いたリアル

2018年2月に単行本として発売され、21年2月5日に文庫化された、桐野夏生さんの『路上のX』(朝日文庫)。親に棄てられ「JKビジネス」に引きずり込まれていく女子高生の姿を描いた作品だ。自身も高校時代に街をさまよっていた経験から、虐待や性暴力被害を受けた10代の少女を支える活動を行う一般社団法人Colabo(コラボ)を立ち上げた、代表の仁藤夢乃さんが文庫版に解説を寄せてくれた。発売を記念して、一部を抜粋でお届けする。 「これは私たちの物語だ」  この本を開いてすぐ、そう思