#著者インタビュー
<祝・本屋大賞2024第3位&第9回渡辺淳一文学賞受賞!>【インタビュー】塩田武士が見た、松本清張の背中 話題作『存在のすべてを』で挑んだ「壁」
「作家には定期的に必ず越えるべき壁が出てくると言いますが、私にとってはそれが『罪の声』でした。以前、作家の湊かなえさんのラジオに出演した時に、湊さんがこれから塩田さんは『罪の声』と闘うことになる、私が『告白』と闘ったように、と言われたことがあるんです。重たいなと思いました」 塩田武士さんが2016年に発表した『罪の声』は、「グリコ・森永事件」をモチーフにしたサスペンス小説だ。週刊文春ミステリーベスト10(国内部門第1位)、第7回山田風太郎賞を受賞するなど一世を風靡し、20
【祝・本屋大賞2024第3位&第9回渡辺淳一文学賞受賞!】塩田武士『存在のすべてを』刊行記念インタビュー/「虚」の中で「実」と出会う
情熱を失った新聞記者が再び「書きたい」と奮い立つ題材に出会うという出発点はデビュー作『盤上のアルファ』(2011年)、子供たちの未来を奪う犯罪への憤りという点では代表作として知られる社会派ミステリー『罪の声』(2016年)、フェイクニュースが蔓延し虚実の見極めが難しい現代社会のデッサンという点では吉川英治文学新人賞受賞作『歪んだ波紋』(2018年)、関係者たちの証言によって犯人像が炙り出される構成上の演出は『朱色の化身』(2022年)……。塩田武士の最新作『存在のすべてを』
精神的な支配を受ける苦しみと周囲に理解されない辛さを描いた、櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』/瀧井朝世さんによる、著者インタビューを特別公開
2018年に作品集『うつくしい繭』で小説家デビューした櫻木みわさんの第3作『カサンドラのティータイム』(朝日新聞出版 1760円・税込み)は、2人の女性が主人公だ。 東京でスタイリストのアシスタントとして働く友梨奈と、琵琶湖湖畔で夫と暮らす未知。異なる場所で生きる彼女たちの人生が、やがて思わぬところで交錯する。 「以前、身近な人の言動で苦しんだことがあったんです。渦中にいる時は、自分の状況がよく理解できなかった。後に人と話したり本を読んだりするうち、少しずつ分かってく
誰も知らなかった“本物の関ヶ原”! 伊東潤が徹底的に研究本を読み込み描いた『天下大乱』の圧倒的なリアリティ <著者ロングインタビュー>
■『天下大乱』発刊記念ロングインタビュー ――関ヶ原の戦いは、これまでも多くの作家が取り上げてきましたが、まさに本作では、「書き換えられた」と言ってもよいくらい斬新な物語となっていました。 伊東潤(以下、伊東):本作では、これまでとは全く違った関ヶ原の物語を楽しんでいただけると思います。ここ10年ほどで、関ヶ原の戦いについての研究は急速な深化を遂げました。政治的駆け引きや合戦の様相など、従前のものとは全く違ったものになったと言っても過言ではありません。そうした研究成果を小