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【クリキャベ感想まとめ】頑張らなきゃ、働かなきゃ、しっかりしなきゃ、そんな気持ちに一休みをくれる一冊だーーせやま南天・著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』書店員さんからの感想、続々

創作大賞2023(note主催)で朝日新聞出版賞を受賞した、
せやま南天さんのデビュー作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が4月5日(金)に発売されます。
発売前に本作をお読みくださった書店員さんから感想を沢山いただきました! ありがとうございます! いただいた感想の一部をご紹介します。

【内容紹介】
家事代行歴3ヶ月・津麦の新しい勤務先は、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家。
一歩家の中に入ると、そこには「洗濯物の海」が広がっていた──。
仕事や家事、そして育児……
何かを頑張りすぎているあなたへ贈る物語。
読めば、心がふわりと明るくなる。期待のデビュー作!

せやま南天著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(朝日新聞出版)

書店員さんからの感想


料理の臨場感とともに爽やかな風が吹き、春キャベツのように心がやわらかな明るい色に染まります。津麦さんと織野家の変化は、忙しい日々を送る私たちも一緒にほっとできて、背中を優しく押してくれる、読む絆創膏のような物語。じんわりあたたかく効いてきます。

(うさぎや矢板店 山田恵理子さん)


家事って完璧に機械的にするものじゃないと、この小説に教わりました。住んでいる人、食べる人の心に寄り添って、想像しながら、心をこめてすること。心があるかないかそれが一番大事なんだと。自分ひとりで無理してやり遂げようとして、壊れてしまったら、意味がない。住みやすいように、生きやすいように居場所をつくること。頑張りすぎている人の心にも、大丈夫だよと優しい安心を与えてくれる小説。ほっこりして、温かくなりました。

(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)


じっくりと噛みしめて味わいたくなる言葉がたくさんあった。
「先人の背中を追いかけて、溺れかけるのはやめませんか」この言葉が胸にぶっ刺さった。
これはきっと私だけじゃない、刺さるひとがいっぱいいると思う。

(福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん)


人はどれだけ「家」に縛られているのだろう。
慣れない家事代行の仕事から人生が変化した。
暮らしを知ることから全てが始まる。
既存の価値観を一変させるだけでなく、
当たり前の毎日が続くことの素晴らしさを実感できる一冊。
この清々しさ、愛おしさ、最高だ!

(ブックジャーナリスト 内田剛さん)


この清々しい読後感は、読者の心をどれだけ癒やすことだろう。
私、癒やされました。押し付けがましくない気遣いとか、人を想う気持ちとか、そういうものが素直に心に沁みた。それになんと言っても、津麦が立てる献立が、普通でありながら、よく考えられていて、段取りも含めて日々の参考になるし、何より美味しそうで、この作品の決め手になる「味」だと思う。ちょっと一息つきたい人に読んでほしい、一服の清涼剤みたいな心地の良い作品。

(六本松 蔦屋書店 峯多美子さん)


上手いの一言に尽きます。新人さんの作品とは思えない、丁寧に描かれた雰囲気と綴られるストーリーがとても良かった。「家事」に対して向き合う心持ちまで変化させられた感じです。結構ヘビーな展開もあるけれど、どれも解決のために向き合っているので読みやすく心が痛くなりすぎなかったので、読み手のこちらも丁寧に読めました。なによりどのキャラクターからも他者への優しさを感じるのがなによりも良い。
次の作品をぜひ読みたいです。

(田村書店吹田さんくす店 村上望美さん)


クタクタで疲れきっているのに、走ることを止められない。
傷だらけになっても、必死に走り続けてしまう。
頑張り過ぎている人こそ、自分でその事に気づけない。
そんな、満身創痍の時に、一人でもそばで支えてくれる人がいたら、きっと心楽しく、良い力加減で頑張れる。

物語を通して、
誰かとつながり、手を取り合う事が、
こんなにも大きなパワーになるのだと深く感じました。
そして、「察する」ではなく「話し合う」事の大切さを教えていただきました。
まさに、疲れた心が回復していくようなヒーリング小説。

お互いを大切に想い合う、言葉と言葉の架け橋の先に見たラストに、
心の底から、じんわりと明るい温かな気持ちが溢れました。

読み終えた今も、穏やかなまなざしが広がる、やわらかな空気感に包まれています!
心身共に潤うような、素敵な作品を拝読させていただき、誠にありがとうございました!

(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)


津麦の真心が伝わった。
家事代行はお父さんやお母さんの代わりにはなれないけど、家族の幸せを後押しするお手伝いが出来、津麦の塞いだ心を解きほぐし、家族の在り方、家事の大切さ、そして人との関わり方を教えてくれた。柔らかな春キャベツが一枚一枚優しさに包まれてる様に、私の心もふんわり温かくなった一冊でした。

(あおい書店富士店 望月美保子さん)


かつてここまで“家事”にスポットライトを当てた小説があっただろうか? 誰に褒められるわけでも感謝されるわけでもない、それでも日々の生活を営む上でなくてはならないもの、家事。はじめは家事なんて誰にでもできると簡単に考えていた主人公の津麦。織野家の人々と出会い、家事を自分の生きやすいようにするための手段だと思えるまでに成長した。掃除の仕方、料理の作り方、どれひとつこれが正解というものはない。それぞれが自分に合ったやり方で、自分が生きやすいよう、好きにできるために家事をする。そんな風に考えたことがなかったので目から鱗が落ちる思いだった。物語を読み、津麦や織野家の人々の成長を見守りながら自分の内面もアップデートされていく。何だか生き方のヒントをもらえたような気がした。

(未来屋書店春日部店 水上舞さん)


最初から最後までずっと温かく、優しさに満ち溢れた言葉に、ほっこりとさせられる作品でした。
新米ヘルパーが家事代行を通して、命の尊さとはかなさに触れながら、紡がれていく家族の大切な絆。
仕事や家事、そして育児と疲れた心にじーんと沁みる、最後まで大事に読み進めたいと思わせてくれる、そんな大切な作品です。

(精文館書店新豊田店 渡邊摩耶さん)


始めて間もない家事代行の主人公と、母を亡くして間もない一家のどちらも一歩が踏み込めない状況です。
お互いに相手を受け入れて信じあえば、助け合うのは難しいことではありません。
その大切さを今作品は我々に気づかせてくれています。
さらに誰かに声を掛けてみたくなります。

春キャベツと言うところが、柔らかいけどシャキッとしている
主人公の性格を表しているようだと思いました。

(有隣堂ららぽーと海老名店 塚田亜紀子さん)


キャベツって万能だな……春キャベツは甘くて柔らかくて美味しい〜、お腹も心も満たされる。

津麦さん、真面目でおとなしいが全力だった。
美味しい料理にお腹も心も満たされてほしいという、
その熱意が伝わってきました。
頑張りすぎて自分を見失ってるなと思いました。

日々の生活を送るのに精一杯の朔也は悲しみを紛らわす……いや、妻がいなくなって家族に不自由させたくないという気負いが辛かったです。
津麦も商社の仕事を辞め家事代行にやりがいを見つけようとしてました。
お互いに必要な時間だったのでしょう。

これから先の未来はどうなるのか知りたい。

(未来屋書店武蔵狭山店 柴田路子さん)


部屋が片付いていない=怠けているという印象を私も持っていました。人それぞれ事情があって頑張りすぎて追い詰められているのかもしれないのに。目標もゴールも無いのに毎日やり続ける家事の重圧。苦しい時は誰かに助けを求めてもいい。そして誰かの作る美味しい料理があれば、生活を楽しむ余裕が生まれる。そのために家事代行は必要なのだと思いました。

(ジュンク堂書店郡山店 郡司さん)


クリームイエローの正体を知ってビックリ! 汚部屋の話? 
真実は手に抱えきれない家事の残骸……ここまで極端ではなくても家事、とくに掃除は後回しになるなぁ。
独りだってやれると気負う父親の風穴を開けたのは子供たちであり、津麦。
助けを求めることは敗北じゃない、心に余裕を持たせてくれる代行で笑い合える幸せを甘受しよう!

(未来屋書店入間店 佐々木知香子さん)


クリームイエロー、春キャベツ。
春らしいタイトルに惹かれて読み始めたのですが、パステルカラーの海が、まさか家事代行の津麦の見た織野家のリビングの光景とは思いませんでした。
男手ひとつで仕事に5人の子育て、家事をこなすのはそれはそれは大変なことですよね。

誰に褒められることもなく、感謝されることもない家事。
終わりのない家事ループに溜息が出ることが私にもある。
そして、はたと気づく。
18歳まで一緒に暮らしていたときは嫌々手伝うばかりで、家事全般を担う母に感謝の言葉をかけたことが果たしてあっただろうかと。
虚ろな目をして家を美しく保とうとする津麦の母はきっと孤独だったはず。
津麦に苛々したのは、きっと昔の私が思い出されたからだろう。

生活をどう営んでいくかで、人は生きやすくも生きにくくもなる。
一人でなんでも頑張りすぎてないかな。
ときには誰かの手を借りて、深呼吸も必要だ。
新米の津麦が、織野家のみんなと関わることでお互いに成長していく姿が眩しい。
気付いた時がそのタイミングだ。
私も大切な人に伝えてみようかな、素直な心で。

(未来屋書店大日店 石坂華月さん)


まずは家事代行の津麦の料理がとてもおいしそうでした。家事は簡単に出来ると思っていたことがこんなにも困難で難しいとわかる心情の変化に納得しました。子供たちと馴染んでいくところはほのぼのとしていて良かったです。ラストのハイキングで朔也と打ち解けていくところが良い終わり方でした。あなたも読んで元気をもらって下さい。

(くまざわ書店南千住店 鈴木康之さん)


家族の数だけ家事がある。家事は生きやすくするためのものだから他人や先人の家と比べて頑張る必要はない、という言葉に目から鱗。
生きている限り無限に続く家事だからこそ、肩の力を抜いて楽しみたいという思いが沸々と込み上げてきました。何かを頑張りすぎている人に読んで欲しい! この物語を必要としている人きっと多いと思います。家事代行の仕事に自信を無くしていた津麦だけど、織野家でのご飯作りはテキパキと段取り上手で、凝ったものではないお料理はまさに織野家のためのもの。とても美味しそう! ほかほかと温かな気持ちになりました。

(三洋堂書店新開橋店 山口智子さん)


この作品の影響で昨晩のメニューは回鍋肉でした。

料理、洗濯、掃除……。
まぁー、家事は大変ですよ。手を抜こうと思えば抜けるし、完璧を目指せばキリがないし。この丁度いい塩梅が難しい。それでいて個人個人でこだわりがあったりしますからね。パパさんは頑張っていたと思う。ザ・男の家事!っていう感じだけど。ご飯は炊いててほしいよなー。家帰ってご飯炊けてない時のがっかり感ってわりとみんな経験あると思うんですが、ダメージ大きいですよね。それを家事代行さんにやられるとそりゃたまらんですよ。まぁ、事前にちゃんと打ち合わせしなかったパパさんにも非はあるけど。
全部を完璧になんていきなりはムリだから一個ずつでいい。一個ずつ習慣づけていけばいい。その繰り返しが成長。あとは成長したご褒美に美味しいご飯。それでイイんです!

(紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん)


頑張らなきゃ、働かなきゃ、しっかりしなきゃ、そんな気持ちに一休みをくれる一冊だと思いました。毎回出てくるお料理がどれも美味しそうでたまらなかったです! 春キャベツ買って帰ろうと思います!

(未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美さん)


軽やかで爽やかでカラフルで、視覚・嗅覚・味覚を刺激されます。
普段ずぼらでとっ散らかった家に住んでいますが、壁の内側は他人には分からない、と言う描写がとても心に響きました。大げさではなく、できる範囲でやればいいんだよって言われた気がして、心がふっと軽くなりました。

私、食いしん坊なので食べ物の描写はたまらない〜。キャベツのレシピが増えて嬉しいです。

(未来屋書店名取店 高橋あづささん)


誰かに頼っていいんだよと言ってもらえて、肩の力が抜けるような優しさがありました。食べて寝て整える。無理のない範囲で自分の生活を潤していこうと思えました。

(未来屋書店松本店 片岡菜穂さん)


多くの人が他者をみて、自分もこうあるべき・こうでなければいけない、と固定観念を知らず知らず刻み込んでいて、出来ない自分を追い詰めてしまう。
自分がみているのは他者のごく一部で、それが必ずしも誰もが快適に生きられる術ではないと改めて気付かされる作品。

(未来屋書店姫路大津店 沖川幾美さん)


「家事」
誰にでも出来そうで、極めようとすると奥深いもの。
家族小説のようでいて、家族小説ではない感じのこの作品。
家事というものを根本から考えさせられました。
頑張りすぎなくて良いんだよ、誰かに頼ることは必要なこと。
心が優しい温かさに包まれる作品!
限界まで頑張る事が美徳の時代は終了です!

(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん)


洗濯物の山を「クリームイエロー」と描き、冷蔵庫の食材から「春キャベツ」を選び出す。作品全体が柔らかく明るいイメージに包まれていて、読後感もほっこりとしていました。「家事」を通して自分を見つめ、理解ある上司や訪問先の子どもたちと交流していく中で、ゆっくりと人生を再生させていく主人公・津麦。その姿がとても爽やかでした。

(ブックスオオトリ四つ木店 吉田知宏さん)


疲れている時にとても心温まり癒やされる作品でした。多くの人に読んでもらいたいです。

(久美堂玉川学園店 松原沙莉さん)


読み進めて「クリームイエローの海」と「春キャベツ」の意味がわかって、たしかに・・!となりました。「家事をすると生きやすくなる」というのはなんとなくしっくりきて。まだ、確かに!と納得できないこともあるけど、今家事をしてる人にもしてない人にも、届いてほしいなあと思います。
がんばりすぎている、というのは案外自分では分からないものなので、御守りみたいに大切にしたい物語だな、と思いました。

(未来屋書店高崎店 吉野千鶴さん)


家事代行業に転職した津麦は、新たな顧客、織野家で茫然としていた。
そこで目にしたのは、大きな大きな衣類の山で……。
見ていたはずのことに再び気づく際の、
自身の不明さを恥じる感情と共に視界が広がる爽快感を味わえます。
またその気づきを得る過程で寄り添うのが食事であり、
食材を刻む音や、歯ごたえがリズムを作り出しているようだ。
家族を営む、日常を営む大切さを丁寧に拾い上げる再スタートの物語。

(明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん)


せやま 南天(せやま・なんてん)
1986年生まれ。京都府出身。創作大賞2023(note主催)にて朝日新聞出版賞を受賞。
受賞作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』でデビュー。
note:https://note.com/s_yama_nanten/ 
X:https://twitter.com/s_yamananten

■せやま南天・著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』
■2024年4月5日(金)発売予定
■1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN 978-4-02-251977-1

せやま南天著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(朝日新聞出版)