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正解の裏にはクイズプレイヤーの人生が…「ゼロ文字押し」解答の謎を追う、小川哲さんによる驚異と異色のなぞ解き小説『君のクイズ』/斎藤美奈子さんの書評を特別公開
■クイズが私の人生を肯定してくれたんです クイズ番組で超難問に次々答える解答者。問題文の最初の数語で答えを予測し、早押しのスピードを競う姿は、百人一首を用いた競技かるたを思わせる。ほとんどスポーツである。 小川哲『君のクイズ』はそんなクイズ王の世界をモチーフにした異色の謎解き小説だ。 語り手の「僕」こと三島玲央は25歳。中学のクイズ研究部に入ったときから十数年、研鑽を積んできた。今日はクイズ界の頂上戦というべき『Q−1グランプリ』当日だ。決勝に残ったのは玲央と、驚
精神的な支配を受ける苦しみと周囲に理解されない辛さを描いた、櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』/瀧井朝世さんによる、著者インタビューを特別公開
2018年に作品集『うつくしい繭』で小説家デビューした櫻木みわさんの第3作『カサンドラのティータイム』(朝日新聞出版 1760円・税込み)は、2人の女性が主人公だ。 東京でスタイリストのアシスタントとして働く友梨奈と、琵琶湖湖畔で夫と暮らす未知。異なる場所で生きる彼女たちの人生が、やがて思わぬところで交錯する。 「以前、身近な人の言動で苦しんだことがあったんです。渦中にいる時は、自分の状況がよく理解できなかった。後に人と話したり本を読んだりするうち、少しずつ分かってく