2023年12月の記事一覧
【書店員さんの感想まとめ】こんな面白くて勉強になる本、絶対に若い方にも読んでほしい!!――垣谷美雨さん『墓じまいラプソディ』感想まとめ
わかりすぎてうなずきながら読みました。みんな家族のことを想っている。でもちょっと煩わしくて、まっすぐに向き合って話すのを避けながら生活してしまう。 墓じまいをしたい人、反対の人、どちらもいろいろ考えがあってのことなのだ。 変わっていく家族のかたち、変わっていく今を私たちの道しるべになってくれる本でした。 (あおい書店(らくだ)富士店 鈴木裕里さん) 他人事ではない誰にでも起こりえる墓問題、夫婦間の姓の問題、ものすごく深刻だけど軽やかな筆致で書かれているので、重くなっ
高橋源一郎さんが、ぼくたちには今こそ『歎異抄』が必要だと思った理由/高橋源一郎著『一憶三千万人のための「歎異抄」』刊行エッセイ
浦沢直樹原作のアニメ「PLUTO」の配信が始まった。約1時間のものが8 本、超大作だ。そのスケールの大きさ故に、テレビ会社では制作できず、世界に配信できるネットフリックスの資本によって制作されたといわれている。実はこの作品、手塚治虫の名作『鉄腕アトム』の中の一エピソード「史上最大のロボットの巻」を長編化、というかリメイクしたものだ。19 歳になる長男に見るように勧めた。すると、長男は8本を一気に見て、「ものすごくおもしろかった! すごい!」といって興奮していた。 ロボッ
福島在住の僧侶作家が「桃太郎」を介して見た、震災後、コロナ禍、そして戦渦の前の”ユーウツ”と”鬼”の正体 / 玄侑宗久著『桃太郎のユーウツ』刊行に伴う随筆
このたび朝日新聞出版から、『桃太郎のユーウツ』という小説集を上梓した。中短六作から成る作品集だが、通常の作品集のように連作ではないし、掲げた通しテーマがあったわけでもない。ただ全体を通読したとき、総タイトルは『桃太郎のユーウツ』だと、すんなり思えた。その辺の思いをそぞろ書いてみたい。 桃太郎とはいったい誰なのか、それは高校時代からずっと気になっていた。正直に言うと、私は高校生の頃友人二人と密かに「桃太郎研究会」なる同好会をつくり、放課後の教室で各種「桃太郎」を読み比べ、