貫井徳郎著『迷宮遡行』の法月綸太郎さんによる解説を特別公開!
十年間勤めた不動産会社をクビになった迫水の許から、ある日突然、妻の絢子が家出する。「あなたとはやっていけなくなりました。ごめんなさい。私を捜さないでください」とだけ書いた置き手紙を残して。親友の後東に励まされ、妻を捜し出す決意を固めた迫水は、身寄りのない絢子の過去を知る歌舞伎町のバーテン新井をたずねるが、新井は何かに脅えているようで、話をした翌日には姿を消してしまう。絢子と新井が相次いで失踪したことに不審を覚え、新井の身辺を探ろうとする迫水の前に、やがて暴力団関係者らしき男