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朝日新聞出版の文芸書

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書評や文庫解説、インタビューや対談、試し読みなど、朝日新聞出版の文芸書にかかわる記事をすべてまとめています。
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2022年2月の記事一覧

胎児が「生まれるかどうか」を決める世界が与える衝撃<芥川賞作家・李琴峰インタビュー>

■出生は祝いか、呪いか ――芥川賞受賞第一作の『生を祝う』は、生まれる前の胎児に出生の意思を確認する合意出生制度が確立された世界が舞台になっています。この構想はどういうきっかけで生まれたのでしょうか? 李琴峰(以下、李):直接のきっかけは、去年「S-Fマガジン」(2021年年2月号)で百合特集が組まれたとき、櫻木みわさんと一緒に百合SF書いたことです。どういう小説にしようかとプロットを考えているときに、思いついたアイディアが二つあって、一つが『生を祝う』で、もう一つが白蛇

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第8回 林芙美子文学賞 受賞作が決定!

受賞の言葉  長い間、周りから理解されず苦しんだ。孤立するたびに「私はあなたたちとは違う」と思える何かが欲しかった。  初めて書き上げた小説を手にした時、自分で自分を特別な存在だと認めた。  私にはこの物語がある。そう思うだけで、勇気が湧いた。  今回、多感な時期を過ごした九州の文学賞で、選考委員の先生方に自分の小説を読んでもらえたことが何よりとても嬉しく、また評価されたことも嬉しいです。  どうもありがとうございました。 受賞者プロフィール 小泉綾子(こいずみ・あ

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【朝日文庫「名作フェア」】ラインナップ全10作品を紹介!目印は緑の帯

■伊坂幸太郎『ガソリン生活』   聡明な弟・望月亨とのんきな兄・良男の凸凹兄弟がドライブ中に乗せたある女優が、翌日急死する。望月一家はさらに大きな謎に巻き込まれていき…!?  車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で、謎が謎を呼び不思議が広がっていく、仲良し家族の冒険譚です。解説は津村記久子さんで、「善良な人々を箱庭に入れて愛でるのではなく、悪もひっくるめた世間を渡っていく彼らの姿への信頼と、力強い誠実さが根付いている」と絶賛。文庫刊行から6年後の今も増刷を続ける名作ミステリ

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【江上剛『創世の日 巨大財閥解体と総帥の決断』】刊行記念エッセイ

 この二年ほど、コロナ禍で私たちは窮屈な暮らしを強いられている。またコロナに罹患して亡くなったり、事業が行き詰まったりした人もいる。これがいつまで続くか分からないだけに、「なぜ自分が苦しまねばならないのか」と、理不尽さに怒りを覚えていることだろう。私たちの人生には理不尽さが付きまとっている。災害や戦争で罪のない多くの人々が亡くなる。日常生活でも残忍な事件が発生し、罪のない人が殺される。例えば新幹線車内で、若い男がナタを振り回し、女性を襲った事件があった。その際、女性を助けよう

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