マガジンのカバー画像

川添愛:連載エッセイ「パンチラインの言語学」

11
文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた…
運営しているクリエイター

#パルプ・フィクション

Whatでは英語を話すのか?(『パルプ・フィクション』)――川添愛「パンチラインの言語学」第8回

 皆さんにとって、「これまでの人生で、見た回数が一番多い映画」は何だろうか? 私は『パルプ・フィクション』である。数えたことはないが、たぶん40回ぐらいは見ている。  初めて見たのは大学生のときだ。正直言って、一度目はあまり面白いと思えなかった。なんとなくクライム・サスペンスのつもりで見始めたが、ハラハラドキドキするような感じでもなく、登場人物たちはなんか本筋とは関係ないことをベラベラ喋ってるし、暴力シーンはやたらと怖いし、どちらかというと繰り返し見ることはないタイプの映画だ